足場工事で使用されるクランプの中に、キャッチクランプと呼ばれる種類のものがあります。
本記事では、キャッチクランプとは何か、種類、使い方、価格相場について徹底解説します。
キャッチクランプとは?
足場工事におけるクランプとは、足場の部材と部材を繋いで固定する金具のことです。
クランプは数多くの種類がありますが、単管と鉄骨を繋ぐクランプのことをキャッチクランプといいます。
他にも、鉄骨クランプ、ホールドクランプと呼ぶこともあります。
キャッチクランプの使い方
足場を組み立てて、屋根を作ったり、養生をすると風の影響を受けて足場全体が倒壊する恐れがあります。
そこで、単管パイプを使って建物のバルコニーなどにキャッチクランプを噛ませて足場自体の倒壊リスクを減らすという使い方をします。
単管パイプを取付けた逆側がC型の金具になっており、そのC型の部分にH鋼の縁部分をハメ込み、ボルトを締めて固定します。
このように、別の建物にキャッチクランプと単管で連結させることを「キャッチをとる」という言い方をします。
本来、C型の金具は鉄骨をハメ込む為のものですが、掲示板や案内板をハメ込んで使用する場合もあります。
また、クランプ部分はボルトがむき出しになっており、作業員や通行人が誤って接触した場合、怪我をする恐れがあるので注意して下さい。
クランプの上から被せるクランプカバーというものもありますので、状況に合わせて使用して下さい。
単管にトラテープを巻きつけたり、頭上部分にリボンを垂らしたりして、安全性を向上するやり方もあります。
使用上の注意点
キャッチクランプを使用する際、注意しなければならない点をまとめましたのでご紹介します。
- 鉄骨を掴む時、本体くわえ部の一番奥に接触させて締め付けて下さい。
- 鉄骨を掴む時、滑りや脱落の恐れがある取付方法は危険ですので止めて下さい。
- キャッチクランプは2個以上用いて鉄骨に取り付けて下さい。
- 掴む鉄骨の厚さは6mm以上として下さい。
- 安全基準を守って使用して下さい。
特に、キャッチクランプは2個で1セットとするものなので、1個だけで使用しないよう注意して下さい。
1個で使用してしまうと、締め付けたボルトを軸に足場が回転し、倒壊する恐れがあります。
2個使用し、足場と鉄骨をしっかりと固定して下さい。
また、仮設工業会でキャッチクランプの認定基準が設定されています。
メーカーから購入する際は、認定基準を満たしていることを確認してから購入しましょう。
以下が仮設工業会の認定基準です。
すべり | 強度 | ||
直交 | 平行 | 直交 | 平行 |
6.18KN以上 | 6.18KN以上 | 8.82KN以上 | 13.3KN以上 |
2021年7月14に開催された理事会で、キャッチクランプの改正がありましたので、こちらもご紹介いたします。
7 表 示
鉄骨用クランプは、取付部の又は見やすい箇所に次の事項を表示するものとする。
a 製造者名
b 製造年並びに上期及び下期の別
c 認定合格マーク
【解 説】
⑵ 見やすい箇所には緊結部を含まないものとする。
引用:仮設工業会
鉄骨用クランプへの表示は、取付部に加えて、それ以外の見やすい箇所(緊結部を除く)にも可能となりました。
キャッチクランプの種類
キャッチクランプの種類は直交型と自在型の2種類に分かれます。
【直交型】
直交型は、単管パイプをつかむ部分が鉄骨をつかむ部分に対して直角に交わっており、固定されているタイプのキャッチクランプです。
完全に固定されているため、自在型よりも強度が高く、歪みにくいという特徴を持っています。
【自在型】
自在型は、単管パイプをつかむ部分、及び鉄骨をつかむ部分が360°回転させることが出来、任意の角度で固定することが出来ます。
しかし、直交型と比べて強度が高くないため、出来る限り直交型のクランプを使用し、角度を変えたい時のみ自在型を使用するのが一般的です。
【使用用途】
角度を変えることが出来る自在型の方が便利なので、キャッチクランプは全て自在型で良いのではないかと思う人も居るかもしれませんが、そうではありません。
自在型クランプのみで足場を組んでしまうと、強度不足により足場全体が倒壊する恐れがありますので注意して下さい。
直交型クランプを使用できる部分は、積極的に直交型クランプを使用し、強度を保たせる必要があります。
直交型と自在型を上手く使い分けて足場工事を行って下さい。
その他にも、調整アームが付いているもの、アイボルトが付いているもの、チェーン吊用金具が付いているものなど、様々な用途に合わせて販売されています。
また、キャッチクランプごとに適応フランジ厚が設定されており、鉄骨を掴める厚さが変わってきます。
通常のキャッチクランプの適応フランジ厚は6mm~35mm程で設定されていますが、ロング型の適応フランジ厚は6mm~63mm程で設定されています。
ロング型の方が厚い鉄骨を掴むことが出来るので融通が利きますが、重量が200g程重くなり、大きさも大きくなるため、用途に合わせて使用して下さい。
キャッチクランプの価格相場
次はキャッチクランプの価格相場をご紹介します。
まずは価格相場の参考表をご覧下さい。
メーカー | 個数 | 価格 | 1個あたりの価格 |
A社 | 20個 | 30,000円 | 1,500円 |
A社 | 60個 | 85,000円 | 1,416円 |
B社 | 20個 | 42,000円 | 2,100円 |
C社 | 20個 | 25,000円 | 1,250円 |
D社 | 20個 | 32,000円 | 1,600円 |
参考:楽天市場、モノタロウ
20個入りで販売しているメーカーが多く、価格は25,000円~42,000円で、1個あたりの価格は1,250円~2,100円です。
1個ずつバラ売りしているメーカーもありますが、その場合、2,500円~3,500円くらいの価格になります。
セットで販売すると1個あたりの価格を安く出来るので、たくさん必要という場合はセットで購入することをおすすめします。
まとめ
キャッチクランプの種類、使い方、価格相場について解説いたしました。
- キャッチクランプとは、単管と鉄骨を繋ぐクランプのことで、鉄骨クランプ、ホールドクランプと呼ぶこともあります。
- 単管パイプを使って建物のバルコニーなどにキャッチクランプを噛ませて足場自体の倒壊リスクを減らすという使い方をします。
- キャッチクランプは2個で1セットとするものなので、1個だけで使用しないよう注意して下さい。
- 仮設工業会の認定基準を満たしたキャッチクランプを使用して下さい。
- キャッチクランプの種類は直交型と自在型の2種類に分かれており、単管パイプをつかむ部分が鉄骨をつかむ部分に対して直角に交わっており、固定されているタイプが直交型。単管パイプをつかむ部分、及び鉄骨をつかむ部分が360°回転させることが出来、任意の角度で固定することが出来るのが自在型です。
- 自在型クランプのみで足場を組んでしまうと、強度不足により足場全体が倒壊する恐れがあるので、直交型クランプを使用できる部分は、積極的に直交型クランプを使用して下さい。
- キャッチクランプの価格相場は、20個セットで25,000円~42,000円、1個をバラで買うと2,500円~3,500円ほどの価格になります。
キャッチクランプの使い方や相場を理解し、足場工事に役立てて下さい。