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足場材の「ジョイント」とは?種類・使い方・価格相場などを徹底解説

単管パイプ同士をつなぐ資材というと何が思いつきますか?実はクランプ以外にも、ジョイントという資材があります。この記事では、ジョイントの種類や使い方、価格相場を徹底解説します。今までジョイントを使ってきた方は復習として、そうでない方は知識として、参考にしていただけますと幸いです。

【足場材】ジョイントとは?

足場材のひとつ「ジョイント」とは、単管パイプ同士を連結させるための継手金具です。パイプの長さが足りないときにジョイントを取り付ければ、パイプを付け足すことができます。ジョイントは、建枠と建枠を縦に繋げるときにも使用します。

なおクランプは、2または3本の単管パイプを交差あるいは平行して緊結するときに使用する緊結金具です。ジョイントとクランプは、役割が違うということを覚えておきましょう。

【足場材】ジョイントの種類と使い方

ジョイントの種類は以下の4つです。

  • 直線ジョイント
  • マルチジョイント
  • ドブメッキジョイント
  • 手すり用ジョイント

使い方も合わせて詳しく見ていきましょう。

直線ジョイント

「直線ジョイント」とは、ピン付きの単管パイプや建枠などを連結するジョイントです。ほぞにピン付単管パイプのピンを差し込んで使います。なお、ほぞ穴の形によって、使えるピンは異なります。ほぞ穴の形が丸の場合はすべてのピン、ほぞ穴の形が四角の場合はオートピンのみ使えます。

マルチジョイント

「マルチジョイント」とは、直線ジョイントとボンジョイント(のちほど解説)両方の機能を併せ持つジョイントです。ほぞをピン付単管パイプのピンに差し込み、中央部のネジを締めることで内側が圧着されて、ガタつきを解消できます。

ドブメッキジョイント

「ドブメッキジョイント」は、ドブメッキで表面処理されているジョイントです。防サビ効果が高く、人気があります。その分金額は上がりますが、直線ジョイントやマルチジョイントを購入する際は、ドブメッキ加工がしてあるものがおすすめです。

手すり用ジョイント

「手すり用ジョイント」とは、手すり用パイプ専用のジョイントです。左右のほぞをそれぞれパイプに差し込み、パイプに付いたピンをジョイントの切り欠き部に入れ、ボルトを締めて固定します。

手すり用ジョイントは、あくまで手すり専用品であり、布材、斜材、建地材等には使用できませんので注意しましょう。

【足場材】ジョイントを使用する際の注意点

ジョイントの種類のひとつに、「ボンジョイント(C型ジョイント)」というものがあります。ボンジョイントとは、本体に取り付けられているねじを回すにしたがって、ほぞ部が広がり、単管の内側にほぞ部が圧着することにより、抜け止め機能が働く構造のものです。

一見便利そうに見えるこの資材ですが、単管足場にボンジョイントを使用することは禁止されています。

その理由は抜け止め機構が圧着方式であり、その他の抜け止め機能がないからです。ボンジョイントは、引張強度(上下に引っ張られたときの強度)が極めて低く、「鋼管足場用の部材及び附属金具の規格」(労働省告示第103号)を具備していません。そのため、ボンジョイントを単管足場用の継手金具として使用・譲渡・貸与することは、労働安全衛生法違反となっています。

しかし、最近の建設現場において、ボンジョイントを使用したことによる死亡労働災害が多発しています。

事故の事例はご覧のとおりです。

足場の建地は、2m、4m、4mの合計3本の単管をつなぎ合わせた、延長10メートルのものを、1.8m間隔で設置するものでした。建地の組み立て方法は次のとおりでした。

(1) 地上において労働者2名が4mの単管を支えて建てる。
(2) 屋上部分からは労働者1名が2mと4mの単管をつなぎ合わせたものを下ろす。
(3) 建物2階の位置では労働者1名が、上から下ろしてきた単管と下で支えられている単管をつなぎ合わせる。

このとき、各単管をつなぎ合わせるジョイントの大半は、摩擦接合式の「ボンジョイント」が使用されていました。屋上の労働者が2mと4mの単管をつなぎ合わせたものを順次下ろす作業中に、上側の2mの単管を持った時、ボンジョイントで接合されていた下側の4mの単管が外れて鉛直方向に落下し、直下にいた労働者に激突。その方は亡くなりました。

(引用:厚生労働省「単管ジョイントにボンジョイントを使用して発生した災害の事例」

ボンジョイントを足場に使用すると、死に至る大事故につながります。

資材が足りないから、作業の手間を減らしたいからといった理由で手を抜かず、安全を最優先した方法で足場を組み立てるようにしてください。

【足場材】ジョイントの価格相場

ジョイントの価格相場は、1個あたり300~400円前後、高くても1,000円前後です。インターネットなどでも販売されています。ただし種類が豊富なので、用途に応じた商品仕様かしっかりチェックするようにしてください。また商品ごとに適合パイプ径なども異なるので注意しましょう

安全性の高い商品を選ぶために、「一般社団法人仮設工業会認定品」を選ぶことも大切です。認定品かそうでないかは、きちんと明記されていますので、必ず確認するようにしてください。

まとめ

この記事では、足場材のひとつ「ジョイント」について詳しく解説しました。

ジョイントとは、単管パイプ同士を連結させるための継手金具で、パイプを付け足す役割を果たします。主な種類は、直線ジョイント・マルチジョイント・ドブメッキジョイント・手すり用ジョイントの4種類。いずれもほぞにピンを差し込んで使用します。1個あたりの価格相場は300円〜400円前後です。商品仕様をよく見て、適切なものを購入してください。

なお、「ボンジョイント」を単管足場に使用することは、労働安全衛生法で禁止されています。実際に死亡事故も起きていますので、必ず決まりを守りましょう。