ビティ足場とはどのような足場か知っていますか?「ビティ」という言葉を聞いたことはあっても、それ以外は想像がつかない方もいるかもしれません。この記事では、ビティ足場とは何なのか、特徴を交えながら解説していきます。組み立て方や、価格相場も掲載しているので、ぜひ参考にしてみてください。
ビティ足場とは?
ビティ足場とは何か、特徴を交えながら解説します。
ビティ足場とは
「ビティ足場」は枠組足場(※)のひとつです。人によっては、枠組足場全体を「ビティ」と呼ぶこともあります。また地域によっては「ビデ」「ビテイ」と呼ばれることがあります。
ビティ足場の名前の由来は、この足場の考案者「デビッド・イー・ビティ」氏の名前からきています。ビティ氏は、1940年頃のアメリカで、現在の枠組足場の基になる各種機材の特許を取得した人。言わば”枠組足場の父”とも言える存在です。
このビティ氏が創設した会社から、三井物産が日本初の建枠を輸入したことから、ビティ足場と呼ばれるようになりました。
※枠組足場とは
「くさび緊結式足場」・「単管足場」と並んでよく使われる足場のこと。ビルなど高層建築物の工事の際に利用され、鋼管を門型に溶接した建枠に、ジャッキベース・筋交・鋼製布板などの部材を組み合わせ、積み上げて構成する
ビティ足場の特徴
ビティ足場の特徴は、以下の5点です。
- 足場の強度が高い
- 主に高層建築物の工事で使用する
- 組立時の騒音が比較的少ない
- 組立、解体にあまり手間がかからない
- インチサイズ、メーターサイズの2種類がある
ビティ足場の1番の特徴に、強度の高さがあります。堅固な門型建枠と筋交い・鋼製布板・ジャッキベースなど、部材自体の強度が高いため、他よりも安全性の高い足場を組めるのが、ビティ足場の特徴です。
強度があるので、高層建築物工事での使用にも適しています。地上から45mまではビティ足場を組むことが許可されています。
組立時の騒音が少ないのもビティ足場の特徴です。ハンマーによる打ち込みではなく、ボルトや番線を使うため、街中でも騒音が少なくて済みます。
あらかじめ組んだ足場をクレーンで吊り上げる大組や、その反対の大払しもできるので、組立・解体にもあまり手間がかかりません。
覚えておきたいのは、日本のビティ足場には、インチサイズとメーターサイズの2種類が存在することです。主流はインチサイズですが、物流コストを考え、メーターサイズを採用しているメーカーもあります。互換性のない部材もあるので、利用の際は注意しましょう。
ビティ足場とビケ足場の違い
ビティ足場と名前が似ている足場で、「ビケ足場」という足場があります。実はビケ足場は、くさび緊結式足場のひとつ。主に低層住宅や低中層建築の施工に使用されます。名前は似ていても、中身はまったくの別物ですので、知らなかった方はぜひ覚えておいてください。
ビティ足場の組み立て方
ビティ足場の組み立て方は、大きく分けて2通りあります。1つ目は「手すり枠先行型」、2つ目は「手すり枠内側」です。1つずつ確認していきましょう。
手すり枠先行型
「手すり枠先行型」とは、手すり枠を下層から設置することで、常に手すり枠内で作業が可能になる組み立て方のことです。手すり枠先行組型のビティ足場の組み立て方はご覧のとおりです。
1.ベース部分の組み立て
①足場を設置する地盤に、不等沈下が生じないよう措置を施す
②平坦な所定の位置に敷板を並べる
③ジャッキベースを敷板の上に置き、調節ナットを高さに合わせる2.1層目建枠などの組み立て
①建枠の脚柱をジャッキベースに差し込む
②隣接する建枠の間に交差筋交いを取り付ける
③下部の補助手すり枠を外側に取り付ける
④ジャッキベースの調整ナットを使い、全体のレベルを合わせる
⑤根がらみを取り付け、ジャッキベースを釘止めする3.1層目から2層目の手すり枠を取り付けてから、床付き布枠の取り付けを行う
4.1層目から2層目の妻側の手すり枠を取り付ける
5.2層目の組み立て
①建枠を脚柱ジョイントでつぎ足す
②(3.)の手すり枠を取り付けた建枠に固定する
③交差筋交いを構造物側に取り付ける
④妻側手すり枠を取り付ける
6.3層目の組み立て
(5.)の手順を繰り返す
※必要に応じて壁つなぎや控えなどを設置する7.最上層部分の組み立て
①建枠の場合は、補助手すり枠の設置→妻側手すりの設置の順で組み立てる
②手すり支柱の場合は、手すり支柱の設置→手すり枠の設置の順で組み立てる
(引用:俺の夢 for MAGAZIN)
手すり枠内側
「手すり枠内側」とは、建枠を下層から設置することで、常に建枠支柱内で手すり枠を先行して取り付けられる組み立て方のことです。このため、常に手すり枠内で作業ができます。手すり枠内側のビティ足場の組み立て方はご覧のとおりです。
1.ベース部分の組み立て
①足場を設置する地盤に、不等沈下が生じないよう措置を施す
②平坦な場所に敷板を並べる
③ジャッキベースを敷板の上に置き、調節ナットを所定の高さに合わせる2.1層目建枠などの組み立て
※従来の建枠と併用しない場合は、(1.)の上に建枠を建てる
※従来の建枠と併用する場合は、調整枠を使用する①調整枠の脚柱をジャッキベースに差し込む
②隣接した調整枠の愛大に手すり兼用の交差筋交いを取り付ける
③ジャッキベースの調節ナットを使い、全体のレベルを合わせる
④根がらみを取り付け、ジャッキベースを釘止めする3.2層目部分H型建枠の組み立て
①1層目から2層目のH型建枠を、脚柱ジョイントを使用して差し込む
※コーナー部分には、あらかじめ妻側手すりを取り付けて組み立てることも可能4.1層目から2層目の手すり兼用交差筋交いを建枠に取り付ける
5.2層目の組み立て
①床付き布枠や階段枠を取り付ける
②取り付けた手すり兼用交差筋交いの上桟に安全帯を掛け、上部ピンを取り付ける6.3層目の組み立て
①部材を必要な分だけ荷揚げす
②建枠を脚柱ジョイントでつぎ足す
③手すり兼用交差筋交いの下部ピンを建枠に取り付ける
④床付き布枠や階段枠を取り付ける
⑤妻側手すりを取り付ける7.4層目以降の組み立て
(6.)を最上層部分まで繰り返す
(引用:俺の夢 for MAGAZIN)
なお、平成21年6月1日施行の「労働安全衛生規則」の改正で、以下のような墜落・落下防止の措置が必要となりました。
1.交さ筋かい+幅木(15cm 以上)
2.交さ筋かい+下さん(高さ15~40cmの位置)+メッシュシート
3.交さ筋かい+下さん・幅木と同等以上の措置(高さ15cm 以上)
4.手すりわく+幅木(高さ10cm 以上)
5.手すりわく+メッシュシート
6.手すりわく+幅木と同等以上の措置(高さ10cm 以上)
(引用:日工セック株式会社)
ビティ足場を組み立てる際は、上記のような点にも十分注意しましょう。
ビティ足場の価格相場
ビティ足場の価格相場は、1㎡あたり1,000円~1,500程度です。正確に足場の価格を知りたい場合は、以下の計算式で計算してみてください。
足場架面積 = (建物の外周(m) + 8m) × 家の高さ(m)
足場にかかる費用 = 足場架面積 × 平米単価 (1000~1500円)
(引用:株式会社足場ベストパートナー)
まとめ
この記事では、ビティ足場の特徴や組み立て方、価格相場などについて解説しました。ビティ足場とは、枠組足場のひとつです。ビティ氏が考案したことから、この名が付けられました。ビティ足場は強度が高いため、主に高層建築物の工事で使われます。
ハンマーを使わないので、組み立て時の騒音が少ないほか、大組・大払しができ便利です。ビティ足場の価格相場は、1㎡あたり1,000円~1,500円です。もう少し正確な金額を知りたい方は、記事中の計算式も参考になさってください。
この記事が少しでもあなたのお役に立てたら幸いです。