ビケ足場とはどのような足場か知っていますか?「ビケ」という言葉を聞いたことはあっても、それ以外は想像がつかない方もいるかもしれません。この記事では、ビケ足場とは何なのか、特徴を交えながら解説していきます。組み立て方や、価格相場も掲載しているので、ぜひ参考にしてみてください。
ビケ足場とは?
ビケ足場とは何か、特徴なども交えながら解説していきます。
ビケ足場とは
「ビケ足場」はくさび緊結式足場(※)のひとつです。人によっては、くさび緊結式足場全体を「ビケ」と呼ぶこともあります。
名前の由来は、1980年に株式会社ダイサンが開発したくさび緊結式足場、「ビケ足場」からきています。それまで住宅用足場といえば、ほとんどが丸太などで組まれていて、安全性や作業性、耐久性などに、多くの問題がありました。
しかしビケ足場は、シンプルな構造ながら安全性・作業性・耐久性に優れ、組み立てや解体もハンマー1本で行えます。日本初の革新的な足場の登場に、建設業界からは多くの注目が集まり、広く普及していきました。そのような背景を受けて、今でも「くさび緊結式足場=ビケ」の通称で呼ばれています。
※くさび緊結式足場とは
足場の緊結部分にくさびを用いて組み立てる足場のこと。一足で足場を支えている一本足の足場。一般住宅の外壁塗装やメンテナンスなどの際に利用される
ビケ足場の特徴
ビケ足場の特徴は、以下の4点です。
- 工事期間が短い
- コストがかからない
- 複雑な形状の建物でも足場が組みやすい
- 低層住宅や低中層建築での施工に適している
ビケ足場の最大の特徴は、工期が短いことです。ハンマー1本で簡単に設置できるため、組立・解体に時間がかかりません。また、枠組み足場の半分ほどの重量でコンパクトな規格なので、材料の持ち運びが容易にできます。これにより、人件費や運搬費なども抑えられます。
組み合わせ次第で、建物に合った足場を作ることができるのも、ビケ足場の特徴です。高層建築の施工には適さない分、狭い場所にあったり、複雑な形状をしたりしている低中層建築にも対応することができます。
なお、ビケ足場の使用限度はご覧のとおりです。
・低層住宅での使用限度=10m以下
・それ以外の建物=31m以下
住宅にビケ足場を採用する場合は、最高10m以下の2階建て住宅までが使用の限界となります。
ビケ足場とビティ足場の違い
ビケ足場と名前が似ている足場があります。それが「ビティ足場」です。
ビティ足場は枠組足場のひとつで、アメリカのビティ氏が開発したことが名前の由来になっています。低中層建築で用いられるビケ足場と違い、ビティ足場は45mまでの高層建築で用いられます。
名前は似ていても、中身はまったくの別物です。知らなかった方はぜひ覚えておいてください。
ビケ足場の組み立て方
ビケ足場の組み立て方を簡単にご紹介します。YouTubeなどでも組み立て方が配信されているので、以下の文章と合わせて視聴すると、より理解が深まるでしょう。
1.1層目の組み立て
①足場部材の配置
・建物の前の軒長に合わせて踏板の巾を設定し、部材を図面通りに配置する②脚部の固定
・ジャッキベースの下にアンダーベースを使用する
※敷板を使用する場合は、2本以上の釘で固定
・地盤の高低差を確認して、一番高い場所のジャッキのハンドルを一番低く設定する③支柱の組み立て
・コーナー部のアンダーベースの上に固定されたジャッキベースに支柱を差し込む
・支柱と支柱をハンマーで打ち込んで固定する
・ブラケットのサイズに合う手すりを内側の支柱に固定。1スパンだけ本足場型式にする
・次の支柱、建物に応じたスパンを決めて、ハンマーを使って連結する
・作業床の取り付け位置を決めて、ブラケットをはめ込み踏板をはめる
・作業床から90センチの高さに手すりをはめ込む
・下屋部の接続を考えて、支柱の位置を設定して建てる
・内柱は2スパンごとに建てる
※内柱は間口を避けて建てる2.2層目の組み立て
①1層目と同様に支柱・手すり・ブラケットを配置する
②支柱の建込
・支柱のジョイント部は、同一層内に集まらないよう千鳥にする
・シートやパネル養生をする場合は、風荷重を考え、必要な場合は支柱ジョイントにロックピンを入れる③手すり・ブラケット・踏板の取り付けをする
・1層目のブラケットはハンマーで打ち込む
・手すりは、1層目の踏板から腰の高さほどに取り付ける
・クサビの取り付け部分に補強キャップをハンマーで打ち込む
※ブラケットや足場板の受け渡し作業は必ず確実な合図で行う3.3層目以上の組み立て
3層目以上は2層目と同じ作業工程で行う
(引用:俺の夢 for MAGAZIN)
ビケ足場の価格相場
ビケ足場の価格は、1㎡あたり800円~1,000円前後が平均的です。現場の大きさや作業環境、最上階の手すりや階段の設置数、シート養生を行うかどうかによっても金額が変わりますが、150㎡の外壁と仮定すると、12万~15万円ほどの費用です。同想定の枠組足場と比べると、3割以上安くなります。
まとめ
この記事では、ビケ足場の特徴や組み立て方、価格相場などについて解説しました。ビケ足場とは、くさび緊結式足場のひとつです。ダイサンが日本で初めて開発したくさび緊結式足場、「ビケ足場」の名が全国に広まり、今でも同じように呼ばれています。
ビケ足場はハンマー1本で組み立てられるうえ、軽くてコンパクトなので、工期が短くて済みます。また、低中層建築の施工に適しており、複雑な形状の建物に対応できる点も特徴です。
ビケ足場の価格相場は、1㎡あたり800円~1,000円前後です。建枠足場よりも安価に仮設できるので、低中層建築での工事の際は、ぜひ活用してください。今回お伝えしたことが、少しでもあなたのお役に立つと幸いです。