足場工事の資材・用語解説

【用語解説】足場の建地(たてじ)とは?補強方法は?

足場工事における建地とは、どのようなものなのでしょうか。

本記事では、建地とはなにか、建地の補強方法や基準について解説いたします。

足場の建地(たてじ)とは?

足場の建地とは、垂直に立っている支柱のことを言います。

一本足場、抱き足場、単管足場、一側足場は、1本の建地があります。

枠組足場、本足場は建地から離れた方の建地を後踏みといい、建地に近い方を前踏みという呼び方をします。

建地と支柱は同じものですが、厳密に言うと柱の状態で違います。支柱は部材単体のことを言い、建地は構造物の一部のことを言うのが一般的です。

そんな仮設物の柱となる建地ですが、足場が自立する上で非常に重要な役割を担っています。

重要な役割を担っているからこそ、建地の高さや間隔が労働安全衛生規則で細かく定められています。

第五百七十一条

事業者は、令別表第八第一号に掲げる部材又は単管足場用鋼管規格に適合する鋼管を用いて構成される鋼管足場については、前条第一項に定めるところによるほか、単管足場にあつては第一号から第四号まで、わく組足場にあつては第五号から第七号までに定めるところに適合したものでなければ使用してはならない。

一 建地の間隔は、けた行方向を一・八五メートル以下、はり間方向は一・五メートル以下とすること。

二 地上第一の布は、二メートル以下の位置に設けること。

三 建地の最高部から測つて三十一メートルを超える部分の建地は、鋼管を二本組とすること。ただし、建地の下端に作用する設計荷重(足場の重量に相当する荷重に、作業床の最大積載荷重を加えた荷重をいう。)が当該建地の最大使用荷重(当該建地の破壊に至る荷重の二分の一以下の荷重をいう。)を超えないときは、この限りでない。

四 建地間の積載荷重は、四百キログラムを限度とすること。

引用:e-Gov

 

鋼管足場の建地の間隔は、けた行方向1.85m以下、はり間方向1.5m以下とする必要があります。

けた行方向とは、スパンの多い方向のことで、はり間方向は、短手方向のことを言います。

建地の最高部から測り、31mを超える部分の建地は2本組にする必要があります。

高さの制限を超える場合、2本組で補強しなければなりませんが、条件が揃えばその必要はありません。「建地の補強方法」で解説します。

建地間の最大積載荷重は400kg以下にする必要があります。

建地間とは、1スパンあたりのことです。最大積載荷重以外にも、作業床1枚あたりの許容積載荷重を超えないように注意が必要です。

建地の補強方法

建造物の高さに合わせて建地を高くし、補強する必要があります。

建設業界では「建地を高くする」ではなく、「建地を伸ばす」と言います。

固定された脚部から建地を伸ばし、腕木などを取り付け、足場板を設置します。

高所でも安全な作業を行うには、建地が垂直である必要があります。垂直でないと、足場の倒壊に繋がる恐れがあるので注意が必要です。

また、平成27年7月1日から施行された改正労働安全衛生規則では、くさび緊結式足場含む単管足場の建地の補強について条件が緩和されています。

鋼管足場(単管足場)に関する規定の見直し ▶安衛則第571条

鋼管足場の建地の最高部から測って31mを超える部分の建地は、建地の下端に作用する設計荷重(足場の重量に相当する荷重に、作業床の最大積載荷重を加えた荷重)がこの建地の最大使用荷重(この建地の破壊に至る荷重の2分の1以下の荷重)を超えないときは、鋼管を2本組とする必要はありません。

引用:厚生労働省

改正前までは、31mを超えた場合は必ず2本組にして補強しなければなりませんでした。

しかし、改正により建地の下端に作用する設計荷重が建地の最大使用荷重を超えない場合は、2本組にする必要はありません。

留意点は以下の通りです。

設計荷重とは、足場の重量に相当する荷重(朝顔、メッシュシートなどの重量に相当する荷重を含む)に作業床の最大積載荷重を加えた荷重のことを言います。

最大使用荷重とは、建地の破壊に至る荷重の半分以下の荷重のことを言います。

「建地の破壊に至る荷重」には、支持力試験を行い、その数値を用います。

単管足場では、足場を組み立てた状態での支持力試験を行った結果の半分以下の数値を許容支持力(最大使用荷重)とします。

足場の原則的な高さ制限

単管足場の場合、建地の高さが31mを超えると建地を2本組にする場合があると解説いたしました。

では、その他の足場の高さ制限はどうでしょうか。

以下が、足場の種類ごとの高さ制限表になります。

足場の種類 高さ 備考
標準わく組足場 建わく幅1,200mm 45m以下 原則として45m以下とする
建わく幅900mm 45m以下 原則として45m以下とする
低層工事用簡易わく組足場 5.7m以下 壁つなぎを垂直間隔3層ごとに、かつ、水平間隔5.4mごとに設けたものについては、9.5m以下とすることができる。
単管足場 31m以下 建地の高さが31mを超える場合は、最高部から測って31mより下の建地は鋼管2本組とする。
ブラケット一側足場 15m以下 足場の基底部より最上層作業床までの高さは、原則として15m以下とするが、建地を鋼管2本組などの補強をすれば、それ以上の高さで使用することができる。
くさび緊結式足場 31m未満
低層住宅工事用足場 ブラケット一側足場 1本建地 6m以下
2本建地 10m以下
二側足場 10m以下

引用:建設業労働災害防止協会「足場の組立て等作業の安全」

低層工事用簡易わく組足場のように、基本的には5.7m以下と定められていても、条件を満たせば高さの上限を超えることが出来ます。

まとめ

足場の建地について解説いたしました。

    • 足場の建地とは、垂直に立っている支柱のことを言います。
    • 鋼管足場の建地の間隔は、けた行方向1.85m以下、はり間方向1.5m以下とする必要があります。
    • 建地間の最大積載荷重は400kg以下にする必要があります。
    • 建地の最高部から測り、31mを超える部分の建地は2本組にする必要があります。
    • 建地の下端に作用する設計荷重が建地の最大使用荷重を超えない場合は、2本組にする必要はありません。
    • 足場の種類ごとにそれぞれ高さの制限があります。

建地の補強方法、基準を理解し、足場工事に役立てて下さい。

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