足場工事の資材・用語解説

【用語解説】足場工事の「根がらみ」の意味とは?

足場工事の際に使用する「根がらみ」とは何かご存知ですか?名前を聞いただけでは、根本に何かが絡んでいるような、悪い印象を受けますが、実は丈夫な足場作りに欠かせない部材のひとつです。

この記事では、根がらみの意味や設置目的、設置方法、設置基準について解説します。この記事を読んで、根がらみの重要性を理解しましょう。

足場工事の根がらみとは

足場工事の「根がらみ」とは、脚部の支柱同士を連結する部材のことです。建地の位置ずれなどによる倒壊や、不同沈下を防ぐために設置します。

「根がらみ」という名前の由来は、かつての和風建築からきています。玉石に柱をのせただけの独立基礎が主流だった時代には、床下が高いこともあり、脚部を木製の板で連結させることで強度を維持していました。この木製の板を、「根がらみ」または「根がらみ貫」と読んでいたため、足場現場でも同じ意味・同じ名前で使われています。

足場の根がらみの設置方法

根がらみの設置方法は以下のとおりです。

  1. 後踏み側の支柱(外柱)最下端にある緊結部(コマ)に根がらみ用布材を打ち込んで相互に連結する
  2. 前踏みの支柱(内柱)を順次、外柱につないでいく

根がらみを設置する際は、水平器やメジャーなどを用いて、建物との距離などを確認する必要があります。難易度の高い作業であるため、新人の職人だけが担当しないように注意しましょう。

足場の根がらみの設置基準

根がらみの設置基準はどうなっているのでしょう。厚生労働省の「足場先行工法に関するガイドライン」では、

・根がらみは、できる限り低い位置に設置する

・根がらみをはずした開口部等がある場合には、筋かい等で補強する

(引用:厚生労働省「足場先行工法に関するガイドライン」)

と規定されています。ただし、仮設工業会の「くさび緊結式足場の組立及び使用に関する技術基準」では、次のようにも記されています。

①住宅工事用足場は足場の高さも低く、自重、積載荷重ともに小さいため、支柱最下端の緊結部に設けられた緊結部付布材を根がらみとみなすことができ、かつ梁間方向※に根がらみを設ければ、桁行方向※の根がらみは、前踏みあるいは後踏みの一方を省略してよい。 

②桁行方向の根がらみが前踏み後踏み※の双方に設けられている場合は、梁間方向の根がらみは省略してもよい。 

(引用:仮設工業会「くさび緊結式足場の組立及び使用に関する技術基準」)

したがって、住宅工事用足場を組み立てる際は、仮設工業会の基準も参考にするようにしてください。また中央労働災害防止協会の「労働安全衛生規則」第570条では、

足場(脚輪を取り付けた移動式足場を除く。)の脚部には、足場の滑動又は沈下を防止するため、ベース金具を用い、かつ、敷板、敷角等を用い、根がらみを設ける等の措置を講ずること。(以下略)

(引用:中央労働災害防止協会「労働安全衛生規則」第570条

と規定されています。

もしも根がらみを完全に省略する場合は、何らかの方法で滑動及び沈下に対する防止策をとらなければなりません。

一般的に考えられることとして、以下の①または②を実施します。

  1. 敷板を並べて、その上にジャッキ型ベース金具を設置し釘止めをする。
  2. 脚柱(建地)同士を単管等で連結する。

このとき1のようにジャッキ型ベース金具を釘止めした場合には2の代わりとみなすことができます。

※桁行方向とは建物と平行する方向、梁間方向とは建物と垂直する方向のこと

※作業床の建物側を前踏み、反対側を後踏みという

まとめ

今回は、足場工事の根がらみについて解説しました。根がらみとは、脚部の支柱同士を連結する部材です。建地の位置ずれなどによる倒壊や、不同沈下を防ぐために設置します。

根がらみの設置基準に関しては、「足場先行工法のガイドライン」「くさび緊結式足場の組立及び使用に関する技術基準」「労働安全衛生規則」によりさまざまに定められています。現場に合った正しい基準で根がらみを設置するように心がけましょう。

皆さまが正しい知識を持ち、明日も安全に作業できますように、心から願っております。