足場工事の基礎知識

足場の筋交い(ブレス)とは?なぜ必要?基本的な設置方法など紹介

足場工事を行う上で、足場の安全な強度を維持するためになくてはならない筋交い。

本記事では筋交いとはなにか、設置方法、設置基準について解説いたします。

筋交い(ブレス)とは?

筋交いとは、支柱と支柱の間に設置する足場の補強部材です。

筋かい、筋違い、ブレス(brace)とも呼ばれることがあります。

支柱のみで造られた四角形の構造では、水平に力を受けた時に垂直に立っていた支柱が傾き、変形してしまいます。

しかし、対角線状に筋交いを設置し、四角形の構造から三角形の構造にすることで強度を大幅に高めることが出来ます。

主に以下の3種類が使われています。

4コマ用筋交い

長さ2,523mm

斜めに設置した場合は縦1,800mm 横1,800mmになります。

3コマ用筋交い

長さ1,473mm

斜めに設置した場合は縦1,200mm 横1,200mmになります。

2コマ用筋交い

長さ1,249mm

斜めに設置した場合は縦900mm 横900mmになります。

支柱の間の長さ、構面の大きさによって筋交いを使い分けます。

安全な強度を維持するために必要な筋交いですが、足場以外にも建物の造りなどに筋交いは使用されています。

内閣は、建築基準法令にて筋交いの基準について定めています。

建築基準法施行令

(筋かい)

第四十五条 引張り力を負担する筋かいは、厚さ一・五センチメートル以上で幅九センチメートル以上の木材又は径九ミリメートル以上の鉄筋を使用したものとしなければならない。

2 圧縮力を負担する筋かいは、厚さ三センチメートル以上で幅九センチメートル以上の木材を使用したものとしなければならない。

3 筋かいは、その端部を、柱とはりその他の横架材との仕口に接近して、ボルト、かすがい、くぎその他の金物で緊結しなければならない。

4 筋かいには、欠込みをしてはならない。ただし、筋かいをたすき掛けにするためにやむを得ない場合において、必要な補強を行なつたときは、この限りでない。

引用:e-gov

筋交い(ブレス)の歴史

筋交いという技術は200年前に海外から伝わり、日本に普及してきたと思われていました。

しかし、2009年の「平成の大修理」と呼ばれる解体修理を行ったところ、400年前に作られた端巌寺という木造のお寺に筋交いが設置されていることが新たに発見され、日本独自の工法であることがわかりました。

さらに、解体修理中に起きた2011年の東日本大震災でも、筋交い技術が功を成し、揺れに耐えることが出来ました。

400年前の耐震設計であるにもかかわらず、現代の技術に引けを取りませんでした。

筋交い(ブレス)の設置方法

次は、筋交いの設置方法や設置基準について解説いたします。

設置の流れは以下の通りです。

① 足場の外側構面に1箇所以上設置

② 支柱最下部のくさび受けから支柱最上部のくさび受けまで設置

③ 水平に対して概ね45度の角度をつけて全層全スパンに連続して設置

④ 各構面ごとに交互に向きを変えて設置

仮設工業会は「くさび緊結式足場の組立て及び使用に関する技術基準」で、筋交いを設置する上での具体的な基準を設けています。

くさび緊結式足場の組立て及び使用に関する技術基準

(12) 筋かい

 足場の後踏み側の構面には筋かい等として、次に示す設備のうちいずれかを全層全ス

パンにわたって設置すること。

① 大筋かいを足場用鋼管を使用して8層8スパン以下毎に交さ2方向に設置する。その

傾きは水平に対し概ね 45°とし、足場用鋼管は緊結金具を使用して各緊結部付支柱

に取付ける。

② くさび式足場用斜材を 6 層 6 スパン以下毎に交さ 2 方向に設置する。

③ X種のくさび緊結式足場用先行手すりを設置する。

引用:仮設工業会 

全層全スパンの設置とは、足場を外から見た時に、全ての列、全ての行に1本以上の筋交いが設置された状態です。

単管足場の場合は8層8スパン以下ごと、くさび式足場の場合は6層6スパン以下ごとに設置する必要があります。

そして、どちらも傾きは水平に対し概ね45度とします。

X種のくさび緊結式足場用先行手すりとは、筋交いの意味を併せ持つ手すりのことで、BX手すりも含まれます。

通常、くさび式足場用斜材は1.8mのスパンに設置する際、1層分の高さがありますが、1.5m以下のスパンに設置する場合、1層分の高さがありません。

この場合は、くさび式足場用斜材の連続設置は原則なので、臨機応変に対応して下さい。

緊結部が塞がって必要な位置に設置できない場合は、斜材が連続しなくてもやむを得ません。

また、2階建ての住宅は、1構面の高さは3層で足場を組む場合が一般的で、幅はそれ以上のスパンで構成することが多いです。

この場合、3スパンの時点で筋交いが途切れてしまうことになりますが、残された筋交いをどうするがという問題が発生します。

その際は、ビケ足場の施工標準に合わせ、「ハの字」になるように筋交いを設置して下さい。

斜材を設置する時は、両端の最下部にある緊結部を中心に全層全スパンに連続して設置します。

まとめ

足場工事の筋交いについて解説いたしました。

  • 筋交いとは、支柱と支柱の間に設置する足場の補強部材です。
  • 主に、4コマ用筋交い、3コマ用筋交い、2コマ用筋交いがあり、構面の大きさによって使い分けます。
  • 建築基準法令にて筋交いの基準が定められています。
  • 平成の大修理により、筋交いが日本独自の工法だということが分かりました。
  • 筋交いの設置方法を、流れに沿って解説しました。
  • 仮設工業会では、筋交いの具体的な設置基準を定めています。
  • 全層全スパンに筋交いを設置するのが原則です。
  • 単管足場の場合は8層8スパン以下ごと、くさび式足場の場合は6層6スパン以下ごと筋交いの設置が必要です。
  • 筋交いが途切れてしまう場合はハの字型に設置して下さい。

筋交いの設置方法、設置基準を理解し、足場工事に役立てて下さい。

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