足場工事の基礎知識

足場設置届を徹底解説!基準・費用・必要書類等

足場の設置届を提出するにあたり、留意しておかなければならない点がたくさんあります。

さまざまな角度から足場の設置届について徹底解説いたします。

足場設置届とは

足場を設置する際、労働基準監督署に「機械等設置・移転・変更届」を提出しなければならない場合があります。

この設置届を提出しなければならない基準、かかる費用、必要書類、必要資格、流れを徹底解説いたします。

足場設置届の基準

足場の設置基準は、労働安全衛生法で定められています。

労働安全衛生法

(計画の届出等)
第八十八条
事業者は、機械等で、危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、厚生労働省令で定めるものを設置し、若しくは移転し、又はこれらの主要構造部分を変更しようとするときは、その計画を当該工事の開始の日の三十日前までに、厚生労働省令で定めるところにより、労働基準監督署長に届け出なければならない。ただし、第二十八条の二第一項に規定する措置その他の厚生労働省令で定める措置を講じているものとして、厚生労働省令で定めるところにより労働基準監督署長が認定した事業者については、この限りでない。

労働安全衛生規則

(計画の届出等)
第八十六条 事業者は、別表第七の上欄に掲げる機械等を設置し、若しくは移転し、又はこれらの主要構造部分を変更しようとするときは、法第八十八条第一項の規定により、様式第二十号による届書に、当該機械等の種類に応じて同表の中欄に掲げる事項を記載した書面及び同表の下欄に掲げる図面等を添えて、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

(計画の届出をすべき機械等)
第八十五条 法第八十八条第一項の厚生労働省令で定める機械等は、法に基づく他の省令に定めるもののほか、別表第七の上欄に掲げる機械等とする。ただし、別表第七の上欄に掲げる機械等で次の各号のいずれかに該当するものを除く。
二 機械集材装置、運材索道、架設通路又は足場で、組立てから解体までの期間が六十日未満のもの

別表第七(第八十五条、第八十六条関係)
十二 足場(つり足場、張出し足場以外の足場に あつては、高さが十メートル以上の構造のものに限る。)

参考:中央労働災害防止協会

要約すると、以下の通りです。

  • 届出は、工事開始の30日前までに提出しなければならない
  • 種類に応じて労働監督署に届出を提出しなければならない
  • 足場の組立から解体までの期間が60日未満、足場の高さが10m未満のものは届出の必要は無い

10m以上の足場工事であったり、60日以上の工期が必要な工事の場合は届出が必ず必要になりますので、注意が必要です。

足場設置届の費用

足場を設置する際、足場が道路にはみ出てしまう場合、設置届と別に「道路使用許可証」、「道路占有許可証」が必要になります。

都道府県により申請に必要な書類が違ったり、とても複雑です。

そこで、専門の業者に一式で代行してもらう方法があります。代行すると費用が掛かります。

代行費の相場はおおよそ10万円~15万円程度です。
足場設置届の必要書類

足場の設置届に必要な書類はたくさんあります。必要書類は以下の通りです。

    • 機械等設置・移転・変更届
    • 案内図
    • 工程表
    • 平面図
    • 立面図
    • 詳細図
    • 足場部材等明細書
    • 構造計算書

書類が漏れてしまうと、受理されない場合がありますのでご注意下さい。

設置届の書き方

「機械等設置・移転・変更届」(様式第20号)の詳しい書き方を解説します。

① 足場は、法律上機械等に分類されるため、「建築物」の文字を削除します

② 「設置・移転・変更」欄に目的に沿って選択します

③ 「事業の種類」欄に「総合工事業」と記載します

④ 「事業所の名称」欄に企業名と現場名を記載します

⑤ 「常時使用する労働者数」欄に元請け人数、下請け人数、合計人数を記載します

⑥ 「設置場所」欄に現場住所を記載します

⑦ 「主たる事務所の所在地」欄に現場事務所の住所、または営業所の住所を記載します

⑧ 「計画の概要」欄に概要、足場の長さや、高さを記載します。書ききれない場合は別紙

⑨ 「全体工期」欄に着工日から工事完了日までの工期を記載します

⑩ 「請負金額」欄に請負金額を記載します

⑪ 「参画者の氏名」欄に名前、職歴、勤続年数などを記載します

枠に書ききれない部分は、別紙で説明しましょう。

足場設置届の必要資格

足場の設置届を提出するにあたり、まず現地調査を行い、計画の作成をする必要があります。

計画を作成するにあたり、実務経験者や有資格を参加させなければならないと、労働衛生安全法で定められています。

(計画の届出等)
第八十八条

4 事業者は、第一項の規定による届出に係る工事のうち厚生労働省令で定める工事の計画、第二項の厚生労働省令で定める仕事の計画又は前項の規定による届出に係る仕事のうち厚生労働省令で定める仕事の計画を作成するときは、当該工事に係る建設物若しくは機械等又は当該仕事から生ずる労働災害の防止を図るため、厚生労働省令で定める資格を有する者を参画させなければならない。

参考:中央労働災害防止協会

要約すると、以下の通りです。

  • 計画を作成するにあたり、有資格者を参画させる必要がある

その必要な資格とは、次の別表第七の第十二号に記載されています。

別表第七の上欄第十二号に掲げる機械等に係る工事

一 次のイ及びロのいずれにも該当する者

イ 次のいずれかに該当する者
(1) 足場に係る工事の設計監理又は施工管理の実務に三年以上従事した経験を有すること。
(2) 建築士法第四条第二項に規定する一級建築士の免許を受けることができる者であること。
(3) 建設業法施行令第二十七条の三に規定する一級土木施工管理技術検定又は一級建築施工管理技術検定に合格したこと。

ロ 工事における安全衛生の実務に三年以上従事した経験を有すること又は厚生労働大臣の登録を受けた者が行う研修を修了したこと。

二 労働安全コンサルタント試験に合格した者で、その試験の区分が土木又は建築であるもの

三 その他厚生労働大臣が定める者

参考:中央労働災害防止協会

要約すると、以下の通りです。

安全衛星の実務経験3年以上の者、または厚生労働大臣の登録者が行う研修修了者に加え、次のうちのいずれかを満たしている必要があります。

    • 足場の設計監理、または施工管理実務経験3年以上
    • 一級建築士の免許を受ける事が出来る
    • 一級土木施工管理技士、一級建築施工管理技士合格者

また、土木または建築の労働安全コンサルタント試験合格者や、厚生労働大臣が定める者は有資格者として見なされます。

足場設置届申請方法

申請の方法は、申請先に持参するか、郵送になります。受付印が押印された控えが必要な場合は、書類の写しと返信用封筒を同封する必要があります。

また、申請後の書類確認で、窓口まで行かなければならない場合もあります。

電子申請

e-Gov電子申請システムより申請することが出来ます。

厚生労働省では、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、電子申請が推奨されています。

事前準備から申請完了までの流れは以下の通りです。

① 事前準備
アカウント準備、ブラウザ設定、アプリのインストールを行います。

② e-Govアプリ起動・ログイン
「e-Gov電子申請アプリケーションを起動」をクリックし、アプリを起動します。

③ 手続の検索
手続き検索からキーワードを入力し、申請書入力から申請書作成ページへ移ります。

④ 基本情報入力
申請者情報、連絡先情報などを入力します。

⑤ 申請様式記入
申請書に必要事項を記入します。

⑥ 添付書類の添付
労使協定書などを添付する場合は「書類を添付」をクリックします。

⑦ 提出先選択
「届出先を選択」をクリックして、提出先の労働基準監督署を選択します。

⑧ 申請案件の手続終了の確認
「利用者設定」を選択すると、メール通知の受信設定が出来ます。

以上が手続きの流れになります。

参考:厚生労働省
電子申請の注意点としましては、提出先は事業所の所在地を管轄する労働基準監督署になるということ。不備がある場合や、事実確認が出来ない場合など、担当者から電話、メールで確認の連絡が入ったり、追加の資料提出を求められる場合があります。

まとめ

足場の設置届について解説いたしました。

  • 足場の設置届とは、「機械等設置・移転・変更届」のこと
  • 設置届が必要な場合は、足場の設置期間が60日以上、高さ10m以上
  • 設置届は設置の30日前までに提出
  • 設置計画には有資格者が必要

また、必要書類、必要資格、申請方法についても細かく記載いたしました。

中でも、電子申請が推奨されています。手順や注意点を確認して、漏れの無いように設置届を申請しましょう。