足場工事に便利なローリング足場。
ローリング足場のレンタル相場、レンタルする流れや、注意点を併せて徹底解説いたします。
ローリング足場とは
ローリング足場とは、高所作業に使用する、仮設移動式足場のことです。
「ローリングタワー」や「移動式足場」と呼ばれることがあります。配管、空調、照明、清掃、塗装工事など、広く使用されています。
小さく折りたたむことも出来ますし、分解することも出来るので、大きめの乗用車で運ぶことも出来ます。
足場を組み立てる作業に比べて、コンパクトに設置することが出来るのが特徴です。
また、5mを超えるローリング足場の高さを調節する場合、「足場組立作業主任者」の技能講習を受講した者、資格を所持している者でなければなりません。
ローリング足場の規格
作業床の面積、1.5m ✕ 1.8m = 2.7㎡の一般的なローリング足場の高さは次の通りです。
ローリング足場の段数 | 地上から作業床までの高さ |
1段 | 1.9m |
2段 | 3.4m |
3段 | 5.0m |
4段 | 6.5m |
5段 | 8.1m |
6段 | 9.6m |
ローリング足場のレンタル相場
1日、1週間、1ヶ月、それぞれのレンタル料金の相場をご紹介します。
長期間レンタルする場合は1日あたりのレンタル料金が安くなる傾向にあります。
1日レンタル
まずは、1日レンタルした場合の参考表です。
ローリング足場の段数 | 1日あたりのレンタル料金相場 |
1段 | 7,500円~8,000円 |
2段 | 9,000円~9,500円 |
3段 | 10,500円~11,500円 |
4段 | 12,000円~12,500円 |
5段 | 13,000円~14,000円 |
6段 | 15,000円~16,000円 |
1週間レンタル
次に、1週間(7日間)レンタルした場合の相場はこちらです。
1日のレンタル料金で7日間貸してくれる業者や、7日間借りると50%割引する業者など、業者によりさまざまなので、値段に開きがあります。
ローリング足場の段数 | 1週間あたりのレンタル料金相場 |
1段 | 7,500円~30,000円 |
2段 | 9,000円~36,000円 |
3段 | 10,500円~42,000円 |
4段 | 12,000円~48,000円 |
5段 | 13,000円~52,000円 |
6段 | 15,000円~60,000円 |
1ヶ月レンタル
1ヶ月(30日間)借りた場合の相場はこちらになります。
1ヶ月の料金が定められている場合や、1日の料金を日数で掛けて、75%の長期割引する場合など、業者によってさまざまでした。
ローリング足場の段数 | 1ヶ月あたりのレンタル料金相場 |
1段 | 22,000円~56,000円 |
2段 | 26,000円~69,000円 |
3段 | 31,000円~83,000円 |
4段 | 35,000円~97,000円 |
5段 | 40,000円~98,000円 |
6段 | 45,000円~10,000円 |
オプションレンタル
最後にオプションの相場を紹介します。
設置、撤去、配送は、段数や距離によって大きく違ってきます。3段以上のレンタルでアウトリガー料金無料など、こちらも業者によって違いがあります。
設置、撤去は一切しない業者もいらっしゃいますので、確認が必要です。
オプション内容 | 相場 |
アウトリガー(1週間あたり) | 4,000円 |
ゴム車輪(1週間あたり) | 2,000円 |
足場板追加(1週間あたり) | 1,000円 |
設置代行 | 10,000円~60,000円 |
撤去代行 | 10,000円~60,000円 |
配送 | 30,000円~50,000円 |
ローリング足場のレンタル方法
レンタルの流れは以下の通りです。
① 足場レンタル業者に連絡
レンタル業者に直接電話で連絡するか、ホームページのお問い合わせフォームからメッセージで問い合わせることも出来ます。その際、必要な部材や用途、現場の住所を明確にしているとスムーズです。
② 情報の登録、契約
どの業者も初回は「レンタル申し込み書」や「登録票」を記入します。それを元に審査し、契約書を締結します。
保証金が必要になる場合もあります。2回目以降は電話だけで済む場合が多いです。
③ 見積書作成
レンタル業者が見積書を作成します。工事内容に対して抜けなどが無いか確認します。
④ レンタル料支払い
レンタル料金のお支払いは、前払いの業者が多いです。長期間レンタルする場合は月末で締めて翌月末に支払うなど、業者によりさまざまです。
⑤ 発注
レンタル料金の支払いが確認後、足場を発注します。お渡し日の時間など、担当者と調整します。
⑥ お渡し
資材ヤードまで取りに行くか、業者が運搬するかのどちらかです。取りに行った場合は基本的にヤードの従業員が積み込みしますが、現場まで運搬してもらった場合は、現場の状況に合った適切な人が荷下ろしをします。
⑦ 返却
使わなくなった部材を一部返却することも出来る場合があります。ヤードまで返却し、数量の確認、検品を行います。
ローリング足場の注意点
ローリング足場を使用するにあたって、注意するべきことをご紹介します。
ある程度の高さの足場は講習の受講者でなければ組み立てることが出来なかったり、積載荷重や高さに制限があったりさまざまな注意点があります。
法律を元に、計算方法も併せて解説します。
足場の組立て等作業主任者選定
高さが5m以上の足場を組み立てる場合や、解体する場合、足場の組立て等作業主任者技能講習を修了した者を選定しなければなりません。
ローリングタワーの場合、3段から5mを超えるため注意が必要です。
労働安全衛生規則
(足場の組立て等作業主任者の選任)
第五百六十五条 事業者は、令第六条第十五号の作業については、足場の組立て等作業主任者技能講習を修了した者のうちから、足場の組立て等作業主任者を選任しなければならない。
労働安全衛生法施行令
(作業主任者を選任すべき作業)
第六条
十五 つり足場(ゴンドラのつり足場を除く。以下同じ。)、張出し足場又は高さが五メートル以上の構造の足場の組立て、解体又は変更の作業
参考:中央労働災害防止協会
材料の状態、強度、高さを確認する
材料の状態が悪いまま使用してしまうと、思わぬ事故に繋がります。
また、労働安全衛生法により、材料の状態や強度ごとの積載荷重や高さが定められています。
条文を紹介した後、例えを用いた計算方法を解説します。
労働安全衛生法
2 材料等
2-1 材料
2-1-2 鋼材及びアルミニウム合金材は、曲がり、へこみ、割れ、二枚割れ等の欠陥のないものを用いること。
2-1-3 脚輪のタイヤは、JIS B 8922(ハンドトラック用車輪)の4.2に定める規格に適合するタイヤとすること。
2-1-4 作業床、階段の踏板等に使用する木材は、強度上の著しい欠陥となる割れ、虫食い、節、繊維の傾斜等がないこと。
2-2 強度計算
2-2-1 設計に用いる積載荷重は、作業床の床面積に応じて、次の式により計算を行って得た値とすること。
A≧2の場合 W=250
A<2の場合 W=50+100A
これらの式において、A及びWは、それぞれ次の値を表すものとする。
A 作業床の床面積(単位 m2)
W 積載荷重 (単位 kg)
3-1 高さ及び脚輪間隔
3-1-1 脚輪の下端から作業床までの高さと、移動式足場の外かくを形成する脚輪の主軸間隔とは、次の式によること。ただし、移動式足場に壁つなぎ又は控を設けた場合は、この限りでないこと。
H≦7.7L-5
この式においてH及びLは、それぞれ次の値を表すものとする。
H 脚輪の下端から作業床までの高さ(単位 m)
L 脚輪の主軸間隔(単位 m)
参考:中央労働災害防止協会
【 積載荷重の強度計算について 】
例えば、作業床のサイズが1,524mm ✕ 1,829mmの場合、面積は2.79㎡となります。
面積は2㎡以上なので、「A≧2の場合 W=250」が適用され、積載荷重は250kgまでとなります。
【 高さについて 】
例えば、作業床のサイズが1,524mm ✕ 1,829mmの場合
H≦7.7L-5
の式に当てはめると、
H ≦ (7.7 ✕ 1.524m) ー 5
H ≦ 6.734
となるため、高さは6.7m(4段)までとなります。
また、アウトリガーがある場合は別の計算方法になります。
墜落制止用器具の使用
ローリング足場を使用する際は、墜落制止用器具を使用しましょう。
近年、無理な作業姿勢や、身を乗り出しての作業などにより、高所作業による墜落事故が多発しています。
墜落制止用器具は、6.75mを超える高さではフルハーネス型のものを使用しなければなりません。
ローリング足場の場合、4段から6.75mを超えるので注意が必要です。
また、フルハーネス型着用者が墜落時に地上にぶつかってしまう可能性がある高さの場合は、胴ベルト型のものを使用出来ます。
その他注意事項
- 作業床上でハシゴや脚立の使用は危険ですので使用しないで下さい。
- 作業員や荷物を乗せたままローリング足場を移動させないで下さい。
- 斜面では使用を控え、どうしても必要な場合は脚柱ジャッキで枠組構造部を鉛直に立て、作業床を水平に保って下さい。
- 移動中以外はブレーキを必ず作動させて下さい。
- 移動スペースにある障害物は事前に撤去して下さい。
- 手すりに足を掛けないで下さい。
- 塗装工事に使用出来ない場合があります。レンタル業者に確認して下さい。
まとめ
ローリング足場のレンタル料金相場や、注意点などをご紹介いたしました。
- ローリング足場とは、仮設移動式足場のことです。「ローリングタワー」とよばれています。
- 1日のレンタル料金相場は3段で10,500円~11,500円です。
- 1週間、1ヶ月と長期で借りる場合は1日あたりのレンタル料金が安くなります。
- レンタル方法は、まず業者に電話かホームページから連絡することから始めましょう。
- 高さが5m(3段)を超える場合、足場の組立て等作業主任者の選定が必要になります。
- 積載荷重や高さは作業床のサイズによって定められており、計算して導くことが出来ます。
- 墜落制止用器具を使用し、その他注意事項を確認して安全に努めましょう。
ローリング足場のレンタル相場、注意点を確認し、足場工事に役立てましょう。