足場工事の基礎知識

次世代足場アルバトロスの特徴や組み立て方等を徹底解説

最近何かと耳にする機会の多い「次世代足場」ですが、一口に次世代足場と言っても、種類がさまざまあることをご存じですか?今回は、そんな次世代足場の中のひとつ、「アルバトロス」について解説していきます。これを読めば、アルバトロスの特徴や組み立て方が分かり、従来の足場との違いを理解できるでしょう。ぜひ最後までご覧ください。

次世代足場について

そもそも「次世代足場」とは何でしょう?この章では「次世代足場とは何か」「次世代足場の種類にはどんなものがあるか」を解説していきます。

次世代足場とは?

「次世代足場」とは、これまで主流となってきたくさび式足場や枠組み足場の規格を、「安全面」「施工面」「管理面」から全面的に洗い直した次世代規格の足場の総称です。主な特徴としては以下のような点が挙げられます。

  • 階高が高い
  • 抜け防止のためのロック機能がついている
  • 手すり先行工法
  • クレーンによる大組、大払しが可能
  • 型枠支保工のシステム承認を取得している

次世代足場の大きな特徴は、階高の高さにあります。半世紀前と比べ、作業者の平均身長が伸びていることや、ヘルメットと安全靴の使用でさらに高さが必要になったことを受け、従来の足場よりも広い空間で作業できる規格に作り変えられています。

また、これまでのくさび式足場は差し込むだけで、抜け防止措置が付いていなかったため安全性が低いのが問題でした。その点、次世代足場なら、抜け防止装置が付いているため、より安全に作業できます。

さらには、先行手すりが標準装備されている点も特徴と言えるでしょう。

今後はこの次世代足場が、現場のスタンダードになっていく可能性が高いです。そのため早いうちから自社に取り入れていくのが吉と言えるでしょう。

次世代足場の種類

一口に次世代足場と言っても、各メーカーからさまざまな種類が販売されています。この記事のテーマである次世代足場「アルバトロス」も、その中のひとつです。本題に入る前に、次世代足場にはどのような種類があるのか、以下の表で確認しておきましょう。

メーカー名 名称 階高ピッチ 支柱

パイプ径

パイプ肉厚 手摺連結部 NETIS登録 仮設工業会認定取得品 仮設工業会システム承認取得 特徴
平和技研㈱ 次世代足場ロックシリーズ 1800㎜ φ48.6 2.4㎜ ポケット型 従来クサビ式と共有可能。最高クラスの揺れ軽減
㈱タカミヤ

光洋機械産業㈱

Iqシステム 1900㎜ φ48.6 2.0㎜ 円盤型 階高1,900㎜、広い作業空間
アルインコ(株) アルバトロス 1800㎜ φ48.6 2.4㎜ 円盤型 業界最多のシステム承認取得
日建リース工業

(株)

ダーウィン 1800㎜

1900㎜

φ42.7 2.4㎜ ポケット型 ポケット式で作業効率良
JFE機材フォーミング㈱ 

東阪工業

ファステック 1800m φ48.6 薄肉パイプ ポケット型 ポケット式で作業効率良
アサヒ産業㈱ ミレニウム 1800㎜ φ48.6 不明 円盤型 次世代足場の先駆者
信和(株) SPS(サイレントパワーシステム) 1800m φ48.6 不明 ポケット型 不明 ハンマー音軽減

(ゴムハンマー推奨)

(株)三共 TOBI LINE

(トビライン)

1800㎜ φ42.7 薄肉パイプ 円盤型 不明 業界一の支柱軽量化
㈱ダイサン レボルト 不明 不明 不明 ポケット型 不明 ポケット式で作業効率良

※タカミヤと光洋機械はIqシステムを共同開発しています。
※JFEと東阪工業はファステックを共同開発しています。

 (引用:あしば職人.com

次世代足場アルバトロスとは?

前述の表にもあるとおり、次世代足場「アルバトロス」は「アルインコ株式会社」が開発した次世代足場です。次世代足場特有の特徴はもちろん、アルバトロスならではの特徴もさまざまあります。この章ではそんなアルバトロスについて、詳しく見ていきましょう。

次世代足場アルバトロスの特徴

次世代足場アルバトロスの特徴は以下6点です。

  • 手すり先行工法
  • 広い作業スペースと快適空間の実現
  • 部材が軽量かつコンパクト
  • 組み立て簡単、自由自在
  • 強度・信頼性・安全性が高い部材
  • 型枠支保工にも使用可能

次の章からひとつずつ解説していきます。

手すり先行工法

アルバトロスは、先行手すりが標準部材です。支柱を床面より先行させることで、より確実な先行手すり工法を実現しています。安全帯取付設備及び、斜材(大筋交い)の代用としても使用可能なので便利です。

広い作業スペースと快適空間の実現

アルバトロスの1層分の高さは1,800mmです。従来のくさび式緊結足場から比べると100mmも高くなっています。また、足場内側に張り出すような補剛材をすべてなくしているため、幅も500mm確保。

これは男女含めた日本人の体に最も適したスペースであるため、通常の作業はもちろん、足場の組立・解体も、ストレスなく快適に行えるでしょう。

部材が軽量かつコンパクト

アルバトロスで使用する部材は非常にコンパクトです。特に支柱に関しては、住宅密集地での作業を考慮し、従来のくさび式足場に比べて約40%も小さくなっています。

これなら、組立・解体時の仮置きも小さなスペースで済みますよね。また、幅をとる部材がないため狭いところからの出し入れも簡単。さらには先行手すりも軽量なため、作業量・輸送コストともに削減できます。

組み立て簡単・自由自在

アルバトロスは、建地から布・ころばし(足場板を乗せるためのパイプ)を四方に伸ばせるので、入隅・出隅の多い躯体にもX方向・Y方向に足場を連続させたまま設置できます

また、建地(支柱)と布・ころばしは、くさびの打ち込みによりしっかり緊結されます。これまでは大量のクランプ締めが必要だった単管足場と比べ、工数が大幅に削減されます。(壁つなぎの取り付けには単クランプ締めが必要)

グランドレベルでレベルと通りを出せば、あとは枠組み足場のように組み立てるだけで完成。継ぎ足すパイプの長さを考えたり、各層ごとにレベル・鉛直を調整する必要がありません。

手すり・支柱の結合部に抜け止め機能を設置しているため、大組・大払しに適し、安全性・効率性に優れている点も魅力です。

強度・信頼性・安全性が高い部材

アルバトロスのくさびは、2〜3回の打込みで十分な緊結力が発揮されるほか、振動などの予測外の力にも強い構造です。

布材のコの字金具には、靭性(材料の粘り強さ)に優れた白心可鍛鋳鉄(はくしんかたんちゅうてつ)を使用しており、強度もアップ。緊結力・耐久性・施工性に優れた形状となっています。

また、従来の「ポケット式くさび足場」では布材が抜けやすかったことが問題でしたが、アルバトロスは「フランジ貫通式くさび足場」を採用しているため、より高い剛性と信頼性が実現しています。

型枠支保工にも使用可能

アルバトロスは型枠支保工にも使用可能です。支保工とは、土や生コンクリートが流れ出るのを抑えるために、型枠のようなもので支える工程のことを言います。

着脱可能な連結ピンタイプにすることにより、専用のカラー材なしで大引き受けジャッキの使用ができます。

次世代足場アルバトロスの組み立て方

前述のように、次世代足場アルバトロスは、従来よりも容易に組み立てられるのが特徴です。以下、組み立て方法を簡単にまとめたので、よければ参考にしてください。

[1層目]

  1. 敷板の設置
    基礎の支持力が十分であることを確認します。
  2. ジャッキーベースの配置
    敷板に釘当で固定します。
  3. 支柱の設置
    最下層の支柱は根がらみプレートのある2700、1350、900を使用します。
  4. 根がらみ(布材)の設置
    布材を軽く打ち込み、水平器でレベルを調節します。緊結部くさびが正しく打ち込まれていることを確認します。
  5. 足場の後踏み側の桁面に先行手すりの設置
  6. 足場の後踏み側の桁面に2層目の先行手すりを設置
    緊結部くさびが正しく打ち込まれていることを確認します。
  7. 床付き布枠の設置

[2層目]

  1. 2層目足場の前踏み側の桁面の布材設置
    緊結部くさびが正しく打ち込まれていることを確認します。2層目の組み立てが終了した時点で最初の壁つなぎを取り付けてください。
  2. 3層目分の支柱設置
    支柱は1800または3600を使用します。抜け止めを正しくロックします。
  3. 足場の外側面に3層目の先行手すりを設置
  4. 3層目の床付き布枠の設置
    緊結部くさびが正しく打ち込まれていることを確認します。

[3層目以上]
2層目と同様

(引用:アルインコ株式会社 「アルバトロス」カタログより

「向井建設株式会社」の公式サイトでは、組み立て方法が分かりやすくまとめられた動画を配信しています。気になる方はそちらもぜひ参考にしてみてください。

>>くさび緊結式足場「アルバトロス」の組み立て動画

次世代足場アルバトロスの値段

次世代アルバトロスの値段は、公には公表されていません。すべて販売元の「アルインコ株式会社」に問い合わせることになっていますので、気になる方は公式サイトから問い合わせをしてください。

>>アルインコ株式会社の公式サイトはこちら

まとめ

今回は、次世代足場アルバトロスの特徴や組み立て方などについて徹底解説しました。

そもそも次世代足場には、

  • 階高が高い
  • 抜け防止のためのロック機能がついている
  • 手すり先行工法
  • クレーンによる大組、大払しが可能
  • 型枠支保工のシステム承認を取得している

という特徴があります。その次世代足場の中でも「アルバトロス」は、

  • 手すり先行工法
  • 広い作業スペースと快適空間の実現
  • 部材が軽量かつコンパクト
  • 組て立て簡単、自由自在
  • 強度・信頼性・安全性が高い部材
  • 型枠支保工にも使用可能

という特徴を持っています。

アルバトロスは、安全性・強度・施工性等が高いうえ、軽量で組み立てやすい足場です。これからの現場では、次世代足場がどんどんと主流になっていきますから、まずはアルバトロスから検討してみてはいかがでしょうか?