足場工事でよく使われるモンキータラップ。
その役割や、値段、注意点、その対策を解説いたします。
モンキータラップとは
モンキータラップとは、「猿梯子」のことです。
モンキーは猿、タラップはオランダ語で「一時的に架設される梯子」のことを言います。
なので、脚立(移動式梯子)のようなものではなく、猿が昇り降りするような、固定して使用する簡易的な梯子のことをモンキータラップと言います。
モンキーステップと呼ばれることもあります。
構造は、2本の鋼管の間に一定の間隔で踏子を取り付けたものが一般的です。
モンキータラップの役割
足場工事におけるモンキータラップの役割は、今居る作業床から、別の高さの作業床に昇降する際に使われます。
足場が高くなればなる程、数多くのモンキータラップが必要となります。
また、移動式梯子と違い、決まった場所に設置されるため、足場工事以外にも多くの場所で使用されています。
例えば、倉庫、風車、建物の屋上、鉄塔、煙突等々、定期的な点検が必要で、かつ昇降する必要がある場所には設置されています。
モンキータラップの値段
モンキータラップの値段は大きさにもよりますが、一般的に使われているアルミ製のものであれば約22,000円~28,000円が相場です。
足場工事で良く使われている、アルミ製モンキータラップの大きさごとの参考表はこちらです。
全長 | 幅 | 重量 | 値段 |
1,250mm | 250mm | 2.7kg | 約22,000円 |
1,850mm | 250mm | 3.5kg | 約28,000円 |
参考:モノタロウ、楽天市場
点検用に使われるステンレス製の値段はこちらです。
全長 | 幅 | 重量 | 値段 |
1,400mm | 400mm | 8.5kg | 約60,000円 |
1,875mm | 400mm | 12.5kg | 約95,000円 |
参考:モノタロウ、楽天市場
モンキータラップを使用する際の注意点
滑らないように注意
モンキータラップを使用する際、梯子が固定されている場合が多いです。しかし、梯子自体が倒れなくても手足を滑らせて落下してしまう事故は少なくありません。
特に、固定梯子は屋外にさらされている場合が多く、雨などで濡れていたり、汚れが付着していることがあります。
その他にも、手袋を新しくしたばかりで物を握るのに慣れていなかったり、寒い日には手がかじかんでいたり、暑い日には手に汗をかいていたりして滑ってしまうことがあります。
また、踏み外しや、靴裏に異物が挟まってしまい、それが原因で落下してしまう等、足元が原因の事故も考えられます。
こまめに足元を確認したり、耐滑性のある安全靴を履く等の対策が必要です。
厚生労働省が作成した「転倒防止について」という資料でも、安全靴について言及しています。
転倒防止に有効な安全靴
転倒の主な原因のうち、「滑り」と「踏み外し」は、靴底の滑りにくさを上げることで転リスクを下げることができます。「つまずき」は、靴底の構造によって、ある程度の効果を出すことができます。転倒に有効な安全靴に求められる性能を整理すると、次の5点になります。滑りにくいことが、かえってつまずきの原因になる場合があるなど、作業現場によって有効な安全靴は異なりますので、メーカーや販売店とよく相談しましょう。
引用:厚生労働省
次の5点とは、靴の重量、靴の屈曲性、靴の重量のバランス、つま先部の高さ、靴底と床の耐滑性のバランスです。
靴の重量は、軽い方が良いです。靴が重いと足が上がりづらくなり、すり足になりやすく、つまずきの原因になります。
具体的には片足900g以下が推奨されています。
靴の屈曲性は高い方が良いです。足に負担がかかるほか、歩いた際の靴底の接地面積が小さくなりがちです。
接地面積が小さいほど、ピンヒールのように転倒する可能性が上がります。
靴の重量のバランスはつま先に重心が偏ってないものを選びましょう。つま先が伸びやすくなり、つまずきの原因となります。
つま先部の高さは高い方が良いです。つま先が低いと、凹凸に引っ掛かりやすくなります。
靴底と床の耐滑性のバランスを考えましょう。滑りやすい床には滑りにくい靴を使用するべきですが、滑りにくい床に滑りにくい靴を使用するとつまずく可能性が高くなります。
現場の状況に合った靴を選択するのが理想的です。
強風に注意
足場工事でモンキータラップを使用する場合、高所での使用も多いです。高さが高くなれば高くなる程、風は強くなります。
そして、昇降中に風に煽られて落下してしまう事故も珍しくありません。
強風の日は梯子を使用しての作業を別日にするか、どうしても昇らなければならない場合は、モンキータラップに背カゴ(安全ガード)を設置する等の対策が必要です。
背カゴは、作業員の周囲を金属製のカゴで囲うことにより、万が一作業員が手を滑らせたり、風に煽られて落下しても、頭から落ちる危険を防ぐことが出来ます。
落下しないことが一番なのですが、落下したとしても最悪の状況を想定して対策することが重要です。
工具の引っ掛かりに注意
足場工事に必要な工具を持ちながらモンキータラップを昇降したり、腰に付けた工具が引っ掛かる等して、人や物が落下してしまう場合もあります。
作業に慣れてくると、ひとつひとつの動作をおろそかにしがちです。特に、何かを持ちながらモンキータラップを昇降するのは危険です。
いくら滑り止めの付いている手袋や、滑りにくい安全靴を使用しても、工具を持ちながらでは事故の危険が高まってしまいます。
また、腰に付けている工具も、たくさん入れて飛び出た状態で昇降すると、背カゴ等に引っ掛かり、体のバランスを崩して滑落する恐れがあります。
滑落せずとも、工具が落ちて下の人に危険が及ぶ可能性もありますので、装備品の確認や、整理をこまめに行いましょう。
まとめ
モンキータラップの役割や、値段、注意点をご紹介いたしました。
- モンキータラップとは、猿梯子のことです
- モンキータラップは、違う高さの作業床に昇降する役割があります
- モンキータラップの値段は、22,000円~28,000円程度が相場です
- モンキータラップを使用する際は、滑らないように安全靴を使用し、強風、工具の引っ掛かりに注意して下さい
モンキータラップの役割や値段を理解し、足場工事に役立てて下さい。