足場工事の基礎知識

足場工事の職人が必要な腰道具・作業着を徹底解説!

足場工事に必要な「腰道具」や「作業着」をきちんと揃えられていますか?これから足場職人になろうとしている人や、最近足場職人になったばかりの人は、作業に必要な道具が分からず、お困りではないでしょうか。この記事では、「足場工事に必要な腰道具と作業着」について徹底解説していきます。これを読めば、安心して現場に向かうことができるでしょう。

足場工事に必要な腰道具

まずは足場工事に必要な腰道具について解説していきます。「どのような場面で必要になるか」「どんなものを選べばよいか」も合わせて解説していきますので、 道具の名前と一緒に覚えてください。

腰袋

腰袋とは、作業に必要な工具を収納する腰付けバッグです。

腰に付けることで作業の邪魔にならず、必要なときにさっと道具を取り出せます。
いちいち道具を取りに行く必要がないため、安全性の確保にもつながります。

腰袋は、大小さまざまなサイズが展開されており、ポケットの多さや、機能面などもいろいろです。ポケットがたくさん付いた大きい腰袋の方が便利に見えますが、大きいものほど中身がごちゃつき、物を落とす事故にもつながり兼ねません。したがって初めのうちは、小さいタイプを選ぶようにしましょう。

安全帯(墜落制止用器具)

安全帯とは、高所で作業する人の墜落を防止する命綱のような道具で、足場に繋いで使用します。

これまでは、ベルト型の安全帯をつけ、そこに腰袋を付けるのが主流でした。

しかし、墜落事故が毎年後を絶たないため、6.75m以上(建設業の場合は5m以上)の場所で作業を行う場合は、フルハーネス型の安全帯の着用が義務付けられています。必ず現場に合わせた安全帯を着用するようにし、命を守りましょう。

足場ハンマー

足場ハンマーは、足場の組立・解体作業時に使用する道具です。

日曜大工程度ならハンマーが1本あれば十分ですが、足場工事の場合は、足場を設置する場所の状況によって何本かを使い分けなければなりません。

例えば、現場が人口密集地なら、「カンカン」と大きな音をたてないよう、騒音対策が施されたハンマーを使う必要があります。現場が人通りの多い場所なら、落下防止策が施されたハンマーを使って、事故を防ぐことが大切です。

自分が向かう現場の状況に合わせ、適切なものを選ぶようにしましょう。

クリッパー

クリッパーとは、ペンチのような形をした番線を切るための道具です。(番線とは、単管足場の補強などで使われている太いワイヤーのことを指します。)

クリッパーには、鉄製とアルミ製のものがあります。安いのは鉄製ですが、アルミ製の方が軽くて使いやすいためおすすめです。また、持ち手の長さもさまざまなので、自分に合ったサイズを選びましょう。

スケール

スケールとは、足場の長さを測るための道具です。金属製のメジャーと同じ意味を指します。

足場の長さは1.8mのものが多いため、スケールを選ぶ際は、幅25mm・長さ5m~5.5mサイズのものを選びましょう。長さ5mのスケールなら3本弱、5.5mのスケールなら3本分まで測れます。

落下防止策がなされているものや、落下時の衝撃を考えた高強度ケースを使用しているものなど、種類はさまざまなので、自分に必要な機能の備わったものを選びましょう。

片口ラチェットレンチ/両口ラチェットレンチ

ラチェットレンチとは、ナットやボルトを締めたり、番線を巻き上げたりする際に使用する道具です。回転方向が一方向に制限されるため、通常よりも素早く締め上げることが可能になります。

片口ラチェットレンチならヘッドの片面に1種類のソケット、両口ラチェットレンチならヘッドの両面に2種類のソケットがあるので、使いやすい方を選択しましょう。

また、購入の際は「シノ」付きのものを選びます。シノとは先端が細く尖っている道具で、鉄骨を組む際のホゾ合わせに使うものです。シノ付きラチェットレンチなら持ち手部分がシノになっているので便利です。

インパクトドライバー

インパクトドライバーは、クランプの締結の際に使用する道具です。

ビットが回転しながら「打撃」を与えることで締めこんでいきます。ビットが回転するだけの「ドリルドライバー」とは機能が違うので注意してください。

この道具は、かなりの頻度で使用するので、耐久性が高く信頼できるメーカーの物を選びましょう。またバッテリーは消耗品なので、バッテリーだけ交換できるものを購入するのがおすすめです。

他の職人がコードに足を取られる危険性があるので、くれぐれもコード式のドライバーは購入しないよう注意してください。

足場工事に必要な作業着

次に、足場工事に必要な作業着について解説していきます。足場工事は常に多くの危険と隣り合わせなうえ、過酷な環境での作業を強いられます。そのため、事故を防ぎつつ、快適な作業着を着ていなければなりません。

以下では、用意すべき作業着の種類のほか、「どんなものを選べばよいか」「なぜそれを選ぶ必要があるのか」も合わせて説明していきますので、参考にしてください。

ジャケット

肌寒い時期は、ジャケットやベストを用意しましょう。薄手の衣類に比べて動きづらくなるので、ストレッチ素材のものや、肘・肩周りに動きやすい加工が施されたものを選びましょう。ポケットに落下防止策がついていることも大切です。

インナー

季節に合ったインナーを用意しましょう。足場職人や鳶をする方の多くは、1年を通してインナーを着用しています。肌に密着したインナーを着ることで、体温を一定に保つ効果があるためです。暑い時期は冷感素材で通気性のよいインナーを、寒い時期は吸湿発熱素材のインナーを選んでおきましょう

パンツ

動きやすさを重視したパンツを用意しましょう。作業中の怪我や事故を防ぐためにもパンツの機能は重要です。

実際に着用し、屈伸や跳躍が問題なく行えるか必ず確認しましょう。ストレッチ素材のもの、太ももはゆったり、膝下は細くなっている形のものがおすすめです。いざというときすぐ着脱できるのも大切なポイントです。

安全靴

足先に鉄板が入った安全靴を用意しましょう。足元の装備といえば、以前は足袋が主流でしたが、道具が足の上に落ちたり、つま先をぶつけたりして怪我をする可能性が高いため、現在では安全靴を履くのが主流になりました。

安全靴でなければ工事現場に入れないこともありますので注意してください。

防寒着や空調服、ベストなど

そのほか、季節に合わせて防寒着や空調服、ベストを用意して体温調節をしましょう。気温の影響を直に受ける職業ですから、作業に支障が出ないよう、これらのアイテムを使い分けて、体調管理をしてください。

まとめ

この記事では、「足場工事に必要な腰道具と作業着」について解説しました。足場工事に必要な腰道具は、以下のとおりです。

  • 腰袋
  • 安全帯
  • 足場ハンマー
  • クリッパー
  • スケール
  • 片口ラチェットレンチ/両口ラチェットレンチ
  • インパクトドライバー

足場工事に必要な作業着は以下のとおりです。

  • ジャケット
  • インナー
  • パンツ
  • 安全靴
  • 防寒着や空調服、ベストなど

これらの道具や作業着は、足場工事に必ず必要です。きちんと準備して、仲間に迷惑をかけないようにしましょう。

また、道具や作業着を選ぶ際は、機能面だけでなく安全面も十分に配慮することが必要です。自分の命を守り、仲間の命を守るためにも 、安全面に優れた道具や作業着を選びましょう。

分からないことは、周りの先輩やお店の人にもアドバイスをもらうとより確実です。必要なものを揃え、現場でたくさん活躍されることを願っています。