外壁工事の足場の費用が気になったことはありませんか?
外壁工事の種類や、外壁工事の重要性、工事全般にかかる費用を、見積書や規則を紹介しながら徹底解説します。
外壁工事とは?
外壁工事とは、建物の壁に関する工事のことです。
外壁工事をすることで、防水性や、耐久性の向上に繋がります。水分などの湿気に弱い外壁ですが、外壁塗装を行うことで見た目が綺麗になるだけでなく、雨風などの湿気から守ることが出来ます。
また、塗料によっては断熱効果も期待出来ます。断熱効果、遮熱効果のある塗料で外壁を塗装すると、夏は外の熱気を遮断して涼しい室内で、冬は中の熱気を逃がさずに暖かい室内で過ごすことが出来ます。
外壁工事の種類
外壁工事と言えば、塗装工事を想像する人が多いかもしれませんが、それだけではありません。
それぞれの工法と特徴をご紹介いたします。
張り替え工事
現状の外壁を撤去して新たな外壁に張り替える工事のことです。セメントで作られた外壁をサイディングに変更したり、レンガ張りに変更したり、見た目を大きく変えることが出来ます。
雨漏りが発生し、それが原因で外壁が劣化してしまった場合は、張り替え工事が必要となります。
カバー工法
元の外壁を撤去せずに新しい外壁(金属製サイディング)を上から貼り付ける工事です。
外壁の劣化が比較的軽度であれば、全面を張り替えるよりも安く済ませることが出来ます。
また、費用を抑えるだけでなく、工事に伴う騒音も抑えることが出来ます。
塗装工事
外壁を塗装する工事です。雨水や、紫外線で元々の塗料は劣化します。これを放置してしまうと、雨漏りやひび割れに繋がってしまいます。定期的に塗料を塗り、外壁の防水性を高めることで外壁の状態を維持することが出来ます。
塗装工事の流れ
足場組み、清掃、養生、下塗り、中塗り、上塗り、仕上げ、足場解体の順に作業が進みます。
まずは足場を組み立てることから始まります。この作業で1日かかる場合が多いですが、事故が多発する作業でもあるので、十分注意して取り組む必要があります。
雨風で汚れ、湿気で発生したコケやカビを高圧洗浄機で清掃します。清掃することで、外壁に塗料が塗りやすくなり、仕上がりも綺麗になります。また、劣化を遅らせることにも繋がります。
次に、窓やドア等の塗料が付着してはいけない部分にビニールテープ等を貼り、養生をします。この時、必要があれば、ひび割れの補修を行います。
下塗りは、仕上がりの発色を良くするために行います。また、専用の塗料を使い、適切に下塗りすることで、外壁の寿命を大きく伸ばすことが出来ます。
中塗りは、塗装がムラなく仕上がるように行う作業です。上塗りと同じ色の塗料を使います。
上塗りは、仕上げ作業になります。そのまま建物の色となるため、ムラの無いように仕上げる必要があります。
雨戸などの細かい部分の塗装を塗り、最終チェックが終わったら足場を解体して終了となります。
外壁工事の足場組み立て費用・相場
外壁工事による足場の費用について解説いたします。外壁塗装を例に、内訳やそれぞれの相場をご紹介します。
外壁塗装の内訳
建屋の大きさや、外壁の状態にもよりますが、外壁塗装の相場は80万円~150万円程度と言われています。
この内、
- 人件費 30%
- 塗料代 20%
- 足場代 20%
残りの30%が利益になる見込みです。なので、外壁塗装費の20%が足場代になるので、足場の相場は16万円~30万円程度ということになります。
次に、それぞれの相場を細かくご紹介します。
人件費
人件費は、施工代や工事代と表現されることもあります。人工で表現される場合もありますが、外壁の面積で表すのが一般的です。
工事項目ごとに発生する人件費の相場をご紹介します。
工事名 | 金額 |
洗浄工事 | 200円/㎡ |
養生工事 | 350円/㎡ |
下塗り、中塗り、上塗り | 1,500円/㎡ |
軒天 | 1,000円/㎡ |
雨樋 | 1,000円/㎡ |
破風板 | 900円/㎡ |
雨戸 | 3,500円/㎡ |
この他に、一般管理費や現場管理費を含めて諸経費が引かれます。諸経費は工事料金の10%程度が相場になっています。
塗料代
塗料1缶あたりの種類別参考表になります。
塗料樹脂の種類 | 1缶あたりの相場 |
アクリル | 10,000円 |
ウレタン | 12,500円 |
シリコン | 27,500円 |
フッ素 | 60,000円 |
ピュアアクリル | 60,000円 |
無機配合型フッ素 | 60,000円 |
変性無機 | 85,000円 |
外壁の状態を長持ちさせたいという方は高価格帯の塗料をおすすめします。金額は高いですが、それだけ長持ちします。
外壁の色を定期的に変更したいという方は低価格帯の塗料がおすすめです。どちらとも言えない場合、シリコン塗料がおすすめです。
また、1缶あたり50㎡程塗れるように作られています。
足場代
足場単価の相場は700㎡~1,000㎡です。
足場代は、架面積に足場単価を掛けて算出します。
架面積とは、足場の外側の面積のことです。足場の外周を求めて高さを掛けることで求めることが出来るのですが、足場の外周は、外壁から離す距離にもよるので、複雑です。
なので、建屋の外周におおよその数値8mを足すことで、足場の外周を求めることが出来ます。
式は次の通りです。
[ 建屋の外周 + 8m ] ✕ 高さ = 架面積
例えば、建屋の外周が28m、高さが6mだとすると、架面積は
[ 28m + 8m ] ✕ 6m = 216㎡
足場単価が1,000円だとすると、216,000円という計算になります。
見積例
見積書を参考に相場を見ていきます。
【見積書①】
内容 | 数量 | 単位 | 単価/円 | 価格 |
仮設足場 | 190.9 | ㎡ | 800 | 152,720 |
高圧洗浄 | 182.0 | ㎡ | 200 | 36,400 |
養生 | 190.9 | ㎡ | 300 | 57,270 |
コーキング打ち替え | 51.0 | m | 900 | 45,900 |
コーキング増し打ち | 113.4 | m | 700 | 79,380 |
下塗り | 153.3 | ㎡ | 800 | 122,640 |
中塗り | 153.3 | ㎡ | 1,100 | 168,630 |
上塗り | 153.3 | ㎡ | 1,100 | 168,630 |
破風板塗装 | 43.8 | m | 1,000 | 43,800 |
軒天塗装 | 18.3 | ㎡ | 1,400 | 25,620 |
シャッターBOX・霧除け塗装 | 4.0 | 箇所 | 2,500 | 10,000 |
雨樋・水切り板金 | 27.3 | m | 1,200 | 32,760 |
廃棄物処理費 | - | 一式 | 20,000 | 20,000 |
運搬・交通費 | - | 一式 | 20,000 | 20,000 |
合計 | 983,750 |
工事内容が詳しく書かれた見積書です。足場の単価も相場通りに収まっています。
【見積書②】
摘要 | 数量 | 単位 | 単価 | 金額 |
高圧洗浄 | 146.4 | ㎡ | 150 | 21,960 |
軒天 | 26 | 間 | 1,200 | 31,200 |
破風 | 23 | 間 | 800 | 18,400 |
外壁 | 147 | ㎡ | 2,400 | 352,800 |
平樋 | 18 | m | 2,000 | 36,000 |
縦樋 | 28 | m | 2,200 | 61,600 |
エルボ | 9 | コ | 750 | 6,750 |
集水器 | 4 | コ | 1,250 | 5,000 |
帯 | 32.6 | m | 500 | 16,300 |
足場 | 306.6 | ㎡ | 850 | 260,610 |
計 | 810,620 |
シンプルにまとまった見積書です。業者によって表現の仕方はさまざまです。
足場料金無料とうたっている業者にはご注意下さい。足場の無料分がどこかに加算されている場合があります。
外壁工事に足場が必要な理由
外壁工事に足場が必要な理由は3つあります。
- 作業の効率化
- 作業員の安全確保
- 建屋とその周囲の安全確保
足場を設置することで作業が効率化されます。地上に居る時と同じように、無理のない体制で作業する事が出来ます。足場があれば横に移動することが出来るので、ハシゴを使って作業するよりも圧倒的に効率的です。
また、作業員の安全が確保されます。足場は、作業床の幅などの墜落を防止するための決まりが、労働衛生安全規則で定められています。
足場の組立て等の作業
第五百六十四条
事業者は、つり足場、張出し足場又は高さが二メートル以上の構造の足場の組立て、解体又は変更の作業を行うときは、次の措置を講じなければならない。
イ 幅四十センチメートル以上の作業床を設けること。ただし、当該作業床を設けることが困難なときは、この限りでない。
ロ 要求性能墜落制止用器具を安全に取り付けるための設備等を設け、かつ、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる措置を講ずること。
参考:e-gov
さらに、足場を「製造段階」「機材センターから出荷段階」「仮設の計画段階」「施工段階」それぞれ全て安全点検を実施しなければなりません。その点検は「仮設安全監理者」という有資格者により行われています。
足場材自体の安全が確保されている上に、組立て基準や、墜落防止に関する規則が決まっているので、足場を設置することにより、作業員の安全性を確保することが出来ます。
そして、作業員の安全性を確保することに加えて、周囲の安全も確保することが出来ます。足場を養生することにより、塗料の飛散を防ぐことが出来ます。ハシゴが倒れて通行人にぶつかるということもありません。
ハシゴのみで外壁塗装を行って、何かあった時、業者の保険は適用されません。足場は、作業の効率化と共に、作業員と周囲の安全も確保しているのです。
外壁工事を行わないとどうなる?
外壁を放置していると、塗料の防水性などが無くなり、壁に湿気が帯びるようになります。壁に湿気が溜まり、陽射しによって乾くを繰り返すと、壁の形が少しずつ変化し、ひび割れが発生します。
ひび割れからさらに水分が侵入し、今度は内部から劣化していきます。次第に家の土台部分まで劣化し、台風や地震により崩れてしまう可能性があります。
節約の為に外壁工事をおろそかにしていると、逆に膨大な費用が発生してしまう場合があります。
例えば、断熱材補修工事が必要になる場合があります。外壁が劣化し、内部の断熱材まで水分が入ってきてしまった場合、土台などに到達する前に補修工事を行わなければなりません。
この工事費は100万円~200万円ほど掛かります。それに加えて塗装工事もしなければならないため、1度に300万円近く掛かってしまう場合があります。
さらに外壁工事を放置してしまい、住むことが出来なくなってしまった場合は解体工事が必要になります。
建屋を解体し、新たに住む場所を探さなくてはなりません。解体工事費は200万円~400万円程掛かってしまいます。
そうならないためにも、定期的な外壁工事を行い、建屋の状態を維持しましょう。
外壁工事が必要な場合の判断基準
定期的な塗り替え等の外壁工事が必要ですが、どのような判断基準で必要となるのか、目安をご紹介いたします
外壁工事が必要な場合
目安は10年
戸建住宅は、一般的に10年ごとに塗り替えが必要と言われています。もちろん、場所によって湿気や、紫外線の浴びる量等の状況は違いますが、10年を目安に外壁工事を意識すると良いでしょう。
塗装の劣化順
塗装は次の順番で劣化します。
① 艶がなくなる
② 色が変化する
③ 表面に粉が付く
④ コケが生えてくる
⑤ ひび割れする
⑥ 塗装が剥がれる
ひび割れし、塗装が剥がれてきてしまうと、塗り直しではきかない場合があります。なので、表面に粉が付いたり、コケが生えてくる前あたりに塗り直しをする必要があります。
外壁工事が不要な場合
レンガの家
外壁がレンガの家は塗装不要です。耐久性が高く、50年以上状態を維持することもあります。レンガを塗装してしまうと、10年ごとに塗り直しが必要になります。
張り替えから8年以内の外壁
8年以内であれば基本的に塗り直しは必要ありません。外壁が色あせてきたり、剥がれてきている場合は塗り直しが必要です。
外壁に木質サイディングを使用している場合は、8年前後で塗り直しが必要となる場合があります。
まとめ
外壁工事の相場や外壁工事が必要な場合など、外壁工事について解説いたしました。
- 外壁工事は、建屋の状態を維持するために必要で、張り替え工事、カバー工法、塗装工事などの種類があります
- 塗装工事は、足場組み、清掃、養生、下塗り、中塗り、上塗り、仕上げ、足場解体の順に作業が進みます
- 外壁塗装の相場は80万円~150万円です
- 足場代の相場は外壁塗装費の20%程度なので、16万円~30万円です。
- 人件費、塗料代、足場代の細かい相場について解説いたしました。
- 外壁工事に足場が必要な理由は、作業の効率化、作業員、周囲の安全確保です。
- 外壁工事を長期間行わなかった建屋は断熱材補修工事や、解体工事が必要になります。
- 外壁工事を行う目安は基本的に10年で、塗装の状況を見て判断することが出来ます。
外壁工事に関する正しい相場や知識を知り、今後の生活に役立てましょう。