足場工事の基礎知識

足場で使用する副木の種類と法令・法律で定められた設置基準とは?

足場工事の安全対策で欠かせない「幅木」。

幅木の種類、設置基準を法令を元にご紹介いたします。

幅木とは?

幅木とは、足場に取り付ける板材のことを言います。作業員の墜落や工具などの物体の落下を防ぐために必要です。

「巾木」や、「つま先板」と呼ぶこともあります。

幅木の種類

幅木には「通常の幅木」と「L型幅木」の2種類あり、それぞれ構面側と妻面側で分かれています。

足場における構面側とは、建屋の壁に対して平行に面する側のことです。

妻面側とは、建屋の壁に対して垂直に面する側のことです。足場以外にも建屋等に対して使うこともあります。

第1種(I型幅木)

本体と取付部からなる幅木です。

取付部がコの字型になっており、床付き布わくのつかみ金具に取り付けます。工具不要で取り付けられるものが一般的です。

取付方は、建わくと筋交いを組み立てた後、端から取り付けます。幅木のロック金具をつかみ金具の建わく横架材に掛け、横架材に落とし込みます。

その作業を幅木が無いスパン側から繰り返し、取り付けて設置完了です。

第2種(L型幅木)

水平部を有し、作業床に載せて使用する幅木です。

形自体がL字型をしており、脚柱と布板の隙間を塞ぐことが出来ます。

取付方は、建わくの横架材に金具を掛け、もう片方の横架材にロック金具を掛けます。

ロック金具を落とし込み、固定します。その作業を繰り返して設置完了です。

幅木の構造

仮設工業会で、幅木の構造の認定基準が定められています。

4.構造等

 幅木は第1種及び第2種とも,次の各号に定めるところに適合するものでなければならない。

a 取り付けたときの本体の高さが床から15㎝以上であること。

b 取付部が一体構造のもの及び専用の別部品のものの取付部は,使用中に容易に外れない構造であること。

c 使用場所,取付箇所及び取付方法が限定されるものは,用途外に使用できない構造であること。

d 第2種の幅木にあっては次によること。

 ⒜ 水平部に足がかかっても著しいたわみが生ずるおそれが無い丈夫な構造のものであること。

 ⒝ 水平部の幅は21㎝以下とすること。

 ⒞ 幅10㎝以上の水平部はその表面に滑り止め加工の措置を施してあること。

e 第1種にあっては床面と本体との隙間が水平方向,垂直方向ともに1㎝以下,第2種にあっては床面と水平部との垂直方向の隙間が1㎝以下であること。ただし以下の部分については隙間を3㎝以下とすること。

 (a) 脚柱及び支柱(以下「脚柱等」という。)に取り付ける桁側幅木及び妻側幅木については脚柱等と本体との隙間。

 (b) 床付き布わく又は横架材(水平材)に取り付ける桁側幅木について

引用:仮設工業会

第1種も第2種も容易に外れない構造でなければなりません。

立て掛けるだけや、挟むだけなどでは無く、十分に固定しなければなりません。落下を防止する設備が落下してしまっては本末転倒になってしまいますのでご注意下さい。

第2種の幅木に関しては、水平部の幅は21cm以下でなければならず、10cm以上の場合は滑り止め加工を施してあるものでなければなりません。

幅が広い第2種幅木の場合、作業員が幅木を踏んで滑る危険性があります。なので、滑り止め加工がされている幅木でなければなりません。

第1種の場合、本体と床面の隙間が1cm以下、第2種の場合、床面と水平部との隙間が1cm以下でなければなりません。

例外として、脚柱等に取り付ける幅木と本体の隙間や、横架材に取り付ける構面幅木と幅木の隙間は3cmまで認められています。

幅木の設置基準

幅木の設置基準は労働安全衛生規則に定められています。

2015年の法改正により、墜落防止措置として、筋交いの下部に床から15cm以上40cm以下の場所に下さんを設けるか、15cm以上の高さの幅木、または手すりを設けることが義務付けられました。

(作業床)

第五百六十三条

事業者は、足場(一側足場を除く。第三号において同じ。)における高さ二メートル以上の作業場所には、次に定めるところにより、作業床を設けなければならない。

三 墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所には、次に掲げる足場の種類に応じて、それぞれ次に掲げる設備(丈夫な構造の設備であって、たわみが生ずるおそれがなく、かつ、著しい損傷、変形又は腐食がないものに限る。以下「足場用墜落防止設備」という。)を設けること。

イ わく組足場(妻面に係る部分を除く。ロにおいて同じ。) 次のいずれかの設備

(1) 交さ筋かい及び高さ15㎝以上40㎝以下の桟若しくは高さ15㎝以上の幅木又はこれらと同等以上の機能を有する設備

(2) 手すりわく

ロ わく組足場以外の足場 手すり等及び中桟等

六 作業のため物体が落下することにより、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、高さ十センチメートル以上の幅木、メッシュシート若しくは防網又はこれらと同等以上の機能を有する設備(以下「幅木等」という。)を設けること。 ただし、第三号の規定に基づき設けた設備が幅木等と同等以上の機能を有する場合又は作業の性質上幅木等を設けることが著しく困難な場合若しくは作業の必要上臨時に幅木等を取り外す場合において、立入区域を設定したときは、この限りでない。

引用:中央労働災害防止協会

著しい損傷や変形が無く、たわみが生ずる恐れの無い丈夫な設備を設けなくてはなりません。

たわみが生ずるおそれの無いものなので、ロープやテープ等では代用出来ません。

一般的に使われているのは金属製の幅木ですが、木製でも問題ありません。木製の幅木を使う場合、腐食や損傷が無いか十分に注意しましょう。

墜落により、労働者に危険を及ぼす箇所には、高さ15cm以上の幅木を使用しなければならず、物体の落下により労働者に危険を及ぼす箇所には、高さ10cm以上の幅木を使用しなければなりません。

構面側だけでなく、妻面側も対象ですのでご注意下さい。

また、10cm以上の幅木の代わりに、メッシュシート、防網などの同等の機能を有する設備を設けることが出来ます。

作業の性質上、幅木等を設けることが出来ない場合、条件を満たせば臨時に取り外すことが出来ます。

関係者以外立ち入り禁止措置を行うか、防網を張る、又は墜落制止用器具を使用すると臨時で取り外すことが出来ますが、元請け等の現場責任者と協議し、許可を貰う必要があります。

また、幅木を設けることの出来ない作業が終了次第、直ちに元の状態に復旧させなければなりません。

幅木を使用する際の注意点

人や物の落下を防止する為の幅木ですが、使用する際に以下の点に注意して下さい。

  • 仮設工業会が認定する幅木を使用して下さい
  • 規定の長さを超える幅木の隙間は塞いで下さい
  • 幅木には足場材等のものを立てかけないようにして下さい
  • 幅木に足を乗せて作業しないで下さい
  • 幅木の高さが高い場合、風の抵抗を受けやすくなるためご注意下さい

まとめ

幅木の種類や、法に基づいた設置基準をご紹介いたしました。

  • 幅木とは、人や物の落下を防止する板材のことを言います
  • 幅木の種類は、第1種(I型幅木)、第2種(L型幅木)があります
  • 幅木の構造は仮設工業会により定められています
  • 幅木の設置基準は、人が墜落する箇所は高さ15cm以上、物が落下する箇所は高さ10cm以上必要です
  • 条件を満たせば臨時で幅木を外すことが出来ます
  • 幅木に物を立て掛けたり、足を乗せたりしないように注意して下さい

幅木の種類や設置基準を正しく理解し、足場工事に役立てて下さい。