エアコンを設置する時に、先に足場を設置しなければ工事が出来ない場合があります。
その足場を組み立てるのにどのくらいの費用が掛かるのでしょうか。足場が必要なケース、エアコン工事全体の相場も含めて解説いたします。
足場の組み立て費用・相場
建屋の状況、設置場所の高さなどによって足場の規模が大きく変動しますが、3階建ての家に設置する場合、おおよそ15万円~18万円ほどの足場代が掛かります。
また、エアコンの設置業者と足場を組み立てる業者が別であったり、室外機が壁の面や屋根の上にしか設置出来ない場合など、状況ごとに費用が変わってきます。
マンションや、団地等の場合、戸建てと比べて足場の規模に大きく違いがありますので、業者などにご相談することをおすすめします。
エアコン工事で足場が必要なケース
エアコン工事で必ず足場が必要というわけではありません。必要な場合と不要な場合があります。
建屋の1階部分では地上で作業出来るので必要ありませんが、2階部分以上になると高所作業扱いになります。
おおよそ2階部分で地上から6m、3階部分では9m程の高さになります。高さが2m以上の場所で作業する場合、足場などの作業床を設置しなければならないと、労働安全衛生規則で定められています。
また、足場の設置が困難な場合は、危険を防止するための措置をとらなければなりません。
第一節 墜落等による危険の防止
(作業床の設置等)
第五百十八条
1 事業者は、高さが二メートル以上の箇所(作業床の端、開口部等を除く。)で作業を行なう場合において墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、足場を組み立てる等の方法により作業床を設けなければならない。
2 事業者は、前項の規定により作業床を設けることが困難なときは、防網を張り、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。
参考:中央労働災害防止協会
エアコン工事の危険を防止するための措置として、「高所作業車」が使われることもあります。
高所作業車を使えば、足場を組み立てるよりも予算を抑えることが出来ます。
高所作業車のレンタル料金の相場は4万円前後ですが、運転するためには高さ10m未満で特別教育修了者か技能講習修了者でなければならず、高さ10m以上の場合は技能講習修了者でなければなりませんので、外注する時はその分の料金も加算されます。
また、高所作業車が使用できるのは、車が入れる場所に限定されますので、入れない場合は足場の設置が必要になります。
エアコン設置の注意点
配管長に合ったエアコン選定
配管長とは、室外機と室内機を繋ぐ配管の最大許容距離のことです。エアコンの種類ごとに配管長は決まっています。
ガスがエアコンメーカーの規定量を下回ると、エアコンに強い負荷が掛かり、エアコンの寿命を縮める原因となったり、最悪故障してしまいます。
とくに、3階建ての建屋にエアコンを設置する場合、通常のエアコンの配管長では足りない場合があります。
設置する場所に合った配管長のエアコンを選びましょう。
室外機の風向き
都内を中心に、室外機の風によるトラブルが多発しています。狭小住宅の場合、室外機の風が隣人の敷地に吹き込み、苦情を貰う可能性があります。
風向調節板で後から風向きを変えることも出来ますが、設置の時に注意した方が二度手間になりません。
出来れば、新築の時にエアコン設置業者と相談し、最初から適切な位置に設置した方が良いです。
設置時期
エアコンの設置時期には注意が必要です。
近年、異常気象に伴い、夏の最高気温が高くなってきています。夏前にエアコンを設置しようと思って6月にエアコンを買いに行こうという考えでは、既に遅い可能性があります。
何故なら、毎年、6月~8月の間にエアコンの購入者が殺到します。この時期にエアコンを設置しようとしても、1ヶ月以上待たされることもあります。
夏前に設置しようと思ったらもう夏半ば・・・ということも十分に考えられます。
さらに、エアコンの新型モデルは毎年2月~5月に発売されることが多いので、新型が発売される前の10月~1月あたりにエアコンの値段が安くなります。
なので、春を迎えるよりもう少し前の10月~1月ごろにエアコンを購入するのがおすすめです。
エアコン工事の費用・相場
エアコン工事は、家電量販店による取付工事と、個人業者の取付工事の2パターンがあります。
どちらの方が費用を抑えられるかは、状況に寄ります。
一般的には、家電量販店に頼んだ場合、6畳~12畳部屋屋用エアコンで11,000円前後、14畳以上の部屋用エアコンで18,000円前後です。
個人業者に頼んだ場合、6畳~12畳の部屋用エアコンで15,000円前後、14畳以上の部屋用エアコンで20,000円前後です。
足場が必要な場合は、設置費用とは別に足場代が掛かります。
家電量販店の方が費用を抑えられそうですが、エアコンを購入した場合のみという条件を提示しているお店が多いです。
エアコンを中古で安く仕入れた場合や、既にエアコンを持っている場合は個人業者にお願いすることになります。
エアコンの追加工事
建屋の種類がたくさんあることと同様に、エアコンの工事方法もさまざまです。
エアコン工事は、基本的に「標準工事」と「追加工事」を合わせた費用を請求されます。
標準工事の内容は次の通りです。
- 室内機取付け
- 穴あけ
- 配管接続
- 室外機設置
- 真空引き
「室内機取付け」とは、室内のエアコン部分を、上部、左右に5cm以上の余裕を持たせて取付します。
「穴あけ」とは、配管パイプを通す穴を開けることです。一般的には、エアコンの右下に穴を開けます。
エアコンの水は、穴を通って中から外へ排水されます。室内から外に向かって斜めに勾配をつけることでスムーズに排水されます。
「配管接続」とは、配管を穴に通したり、室内機と室外機を接続することです。配管の長さ4mまでが、標準工事に含まれています。
「室外機設置」とは、室外のエアコンを固定することです。前方25cm以上、後方5cm以上、左右5cm以上離して設置します。
「真空引き」とは、配管の中を真空にすることです。真空ポンプを使って真空にし、冷暖房の効率を良くすることが出来ます。真空引きを行わないと、故障の原因になりますのでご注意ください。
設置場所の条件が良ければ、この標準工事だけで済みますが、壁の材質がコンクリートであったり、設置個所が3階よりも上である場合は追加工事の費用が加算されます。
良く行われる追加工事は以下の通りです。
特殊な壁
壁が何の材質で出来ているかで、追加料金が発生する場合があります。
室外機と室内機を繋ぐためには壁に穴を開けて配管パイプを通さなければなりません。その際、壁の材質がコンクリートやレンガなどの特殊な材質だと、専用の道具が必要になります。
材質 | 相場 |
コンクリート | 15,000円 |
タイル | 7,000円 |
レンガ | 7,000円 |
また、2箇所目の穴を追加で開ける場合は、通常の材質でも5,000円程度の費用が掛かります。
配管の長さ
配管パイプの長さが4m以上になってしまう場合は、追加で料金が掛かります。
エアコンのパイプは銅で出来ているため、長ければ長いほど高価なものになります。
配管長 | 相場 |
4m | 3,500円 |
5m | 7,500円 |
6m | 11,000円 |
設置個所が3階などの高所の場合、足場代や高所作業車代が別で掛かります。
また、配管の見栄えを良くしたり、劣化から守る目的で配管カバー(化粧カバー)を設置することも出来ます。
こちらは、おおよそ10,000円程度の追加料金が掛かります。
電圧変換
通常のコンセントは100Vですが、エアコンによって200Vの電源が必要となる場合があります。
その場合、通常の100Vから200Vに切り替える工事が発生します。
電圧を切り替えるだけで済む工事であれば1,000円程で済みますが、コンセントを交換する工事だと2,500円程度、ブレーカーごと交換する工事になると5,000円程掛かります。
エアコンを選ぶときに、配管長と合わせて部屋の電源と合っているかを確認すると良いでしょう。
コンセント増設
エアコンが設置されると思われる場所には、エアコン専用のコンセントが設置されているものですが、設置されていない場合は専用コンセントの増設工事が必要です。
エアコン専用のコンセントとは、ブレーカーからコンセントまで直通で通っている電源のことです。
部屋の状況で変わってきますが、15,000円~20,000円程掛かります。
まとめ
エアコン工事に掛かる足場の費用や、エアコン工事に関する費用を解説いたしました。
- エアコン工事に必要な足場の相場は15万円~18万円です
- エアコン工事で足場が必要なケースは高所作業車が入れない高所にエアコンを設置する場合です
- エアコン設置は、配管長に合ったエアコン選定をすること、室外機の風向きに気を付けること、6月~8月の設置は避けることなどの注意が必要です。
- エアコン工事の相場は、家電量販店で11,000円~18,000円、個人業者で15,000円~20,000円です。
- エアコン工事は標準工事と追加工事の合算で費用が決まります。
エアコン工事に掛かる費用の相場や注意点を理解して、エアコン設置に役立てて下さい。